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2009年01月27日(火) 19時55分

PC1500台をOpenOffice.orgに そのコスト削減額は……@IT

 アシストは1月27日、食品卸大手のトーホーがアシストの支援サービスを受けてオープンソースソフトウェアのオフィススイート「OpenOffice.org」を社内の標準ソフトウェアとして導入すると発表した。同グループのシェアードサービスを提供するトーホービジネスサービスが中心となって2008年5月から評価を開始、2009年4月に全社1500台のPCでOpenOffice.orgの利用を開始する予定だ。

 神戸市に本社を置くトーホーのグループ従業員数は約3900人。グループ内では1500台のPCが使われていて、ほぼ同数のMicrosoft Officeのライセンスがある。OpenOffice.orgの採用で、この1500台にかかるMicrosoft Officeのライセンスコストを削減することができる。現在、社内で多く使われているMicrosoft Officeのバージョンは「2003」だが、次期OSの「Windows 7」では2003がサポートされるかどうか不明確。Office 2003がサポートされない場合はバージョンアップが必要になり、コスト増になる。

 また、トーホーグループは現在、年間300台近くのPCをリプレースしたり、増設しているといい、その分のOfficeライセンスを新たに購入している。しかし、OpenOffice.orgに移行することで、「買い足す300台のうち6〜7割、つまり200台程度はOpenOffice.orgだけでいける」(トーホービジネスサービスの担当者)と見ている。年間に200台分程度のMicrosoft Officeのライセンスが節約できることになる。

 マイクソフトのWebサイトによると、仮に「Office Standard 2007」をボリュームライセンス(Open License Business)で新規購入する場合、1ライセンスの参考価格は4万5900円。200ライセンスだと年間918万円の出費を抑えられることになる。

 これまでの事例では、850台のPCをMicrosoft OfficeからOpenOffice.orgに移行する会津若松市では、5年で約1500万円のコスト削減を見込んでいる。また、OpenOffice.orgを社内導入し、700台のPCからMicrosoft Officeを削除したアシストは3年で1700万円のコスト削減効果を見積もっている。記者の想定だが、元々Microsoft Officeライセンスのディスカウントを受けていたり、OpenOffice.org導入後にサポートコストが増大したとしても、トーホーグループは複数年で1000万円以上のコスト削減は図れるだろう。

 トーホーグループは2008年4月以降、OpenOffice.orgの文書フォーマット「ODF」を社内の標準とする。しかし、「無理はしない」(トーホービジネスサービス担当者)方針で、社内からMicrosoft Officeをなくすのではなく、当面は併用する考え。外部との文書のやりとりが多い社員や、Microsoft Officeを駆使する必要がある社員にはMicrosoft Officeを使い続けることを認めるなど柔軟な運用を行うという。

 トーホーグループがOpenOffice.orgの導入を決めたのは2008年5月。コスト削減が最大の目的だが、トーホービジネスサービスの担当者は同時に「PCをマルチベンダ環境にしてリスク分散を図ることも目的の1つ」と話した。同社は基幹系システムなどはマルチベンダ環境にしているが、PCだけはマイクロソフトによるシングルベンダ状態が続いていた。「いざとなったらほかのオフィスソフトで文書を作れるようにする必要がある」(トーホービジネスサービス担当者)と考えて、OpenOffice.orgの採用を決めた。「コストセーブとリスク分散の両方を狙った」(担当者)

 さらに同社はウイルス対策や改ざん防止を目的に社内外でやりとりする文書をすべてPDFドキュメントにすることを計画している。OpenOffice.orgは作成した文書を簡単にPDFドキュメントで保存する機能があり、「親和性が高い」(担当者)ことも決定を後押しした。

 OpenOffice.orgの導入に当たってはアシストが導入や運用についてのコンサルティングサービスを提供し、機能検証なども支援した。また、導入後のヘルプデスクサービスもアシストが請け負う。トーホー社員対象の研修も行った。

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