2009年01月27日(火) 18時59分
ホームレス宿泊所が利用料天引き 埼玉県が改善指導(産経新聞)
埼玉県のホームレスの自立を支援する「無料低額宿泊所」の運営事業者が、生活保護を受けている入所者の預金通帳やキャッシュカードを預かるなどして、生活保護費から施設利用料を天引きしていたことが27日、県の調査で分かった。入所者には「口座を作った覚えがない」と話す人もおり、県は2月末までに天引きをやめるよう事業者に指導した。
県によると、天引きしていた事業者は首都圏で宿泊所を運営。問題のあった県内の3カ所の宿泊所の定員は計約300人で、稼働率は常時9割を超えるという。宿泊所は約4・5平方メートルの個室と共同浴場があり、1日3食の食事と光熱費を含め、月額利用料は約9万5000円。
入所者のほぼ全員が生活保護を受けており、毎月支給される保護費は平均で約12万円。事業者は入所者の口座を管理し、利用料を天引きしていたほか、保護費を現金で受け取る入所者からも支給日に全額預かり、施設利用料を差し引いてから渡していたという。
県などが入所者に聞き取り調査をしたところ、天引きついて「同意している」という人と「記憶がない」という人がいた。事業者側は、県に対し「入所者の同意は口頭で得ている。自ら管理させると1日2日で使ってしまう」などと説明しているという。
県によると、この宿泊施設の元入所者が平成20年10月中旬、県に「同意していないのに、通帳から利用料を引き落とされている」との相談があったことから問題が発覚した。
県は翌11月14日付で、入所者に金銭管理能力がない場合、文書での承諾を得たうえで管理するなどの独自基準を設け事業者に通知した。それ以前は、運営者が入所者の金銭管理についての規定はなかった。
こうした宿泊施設への入所は、ホームレスを保護した県か市の紹介によるケースが多い。その際、保護した県か市が生活保護を支給する。
宿泊所は知事に届け出ればだれでも開設できる。国の定めた施設の設備や就労支援などに関するガイドライン以外は規定がなく、県は国に対し法整備を要請している。
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