2009年01月27日(火) 18時54分
カリフォルニア新幹線計画本格化 日本から売り込みへ(産経新聞)
【ロサンゼルス=松尾理也】ロス−サンフランシスコ間を2時間半で結ぶ「カリフォルニア新幹線」計画が動きだしそうだ。州住民投票で90億ドル(約8100億円)規模の起債が承認されたのに加え、環境問題への公共投資で景気浮揚をねらうオバマ政権からの支援も追い風になっている。こうした動きを受け、JR東海の葛西敬之会長が26日、ロスでの会議に出席し、日本の技術の優位を強力にアピールした。ライバルとの国際的売り込み合戦が本格化する気配だ。
州高速鉄道局の計画は、州都サクラメントからメキシコ国境に近い南部サンディエゴまでの全長約1200キロを最高時速350キロの超高速列車で結ぶというもの。1期工事でロス−サンフランシスコ間約740キロを完成させる。
計画自体は1996年に立案されたものの、長くたなざらしの状態が続いていた。しかし、人口増が続くカリフォルニアの交通事情が悪化の一途をたどっているのに加え、環境問題が社会的課題に浮上したことも追い風になり、昨年11月に事業着工のための州政府による起債を認めるかどうかの住民投票を実施。これが認められ、計画はがぜん現実味を帯び始めた。
折りからの景気悪化は計画に暗雲を漂わせているものの、一方でオバマ政権が環境に配慮した社会基盤(インフラ)建設への大規模な公共投資を主眼とする「グリーン・ニューディール政策」を打ち出したという好材料もある。
州高速鉄道局は、1期工事の総工費336億ドルのうち、120−160億ドル規模の連邦政府による支援を見込む。これに州の起債による90億ドルや民間からの資金を加える。
着工時期は未定だが、2012年に着工すれば、2年後にもロス周辺の一部区間で先行開通し、20年に1期工事完成を見込む。すでに仏高速鉄道TGV、日本の新幹線、スペインのAVEが実質的なつばぜり合いを始めている。
こうした状況の中、JR東海の葛西会長が26日、ロスでの環境問題関連の国際会議に出席。新幹線の持つ高い安全性や地震対策などの技術的優位をアピールした。中国への新幹線売り込みの際には、JR東海は最後まで慎重な姿勢を崩さなかった。しかし、この日の葛西氏は、カリフォルニアでゴーサインが出るまでにはまだ曲折があるだろうと予測しつつも、「米国での受注はリスクも低く、国益にもかなう」と、意欲を隠さなかった。
関係者によると、現時点では「フランスが一歩リードしている」とされるが、カリフォルニアの地を突っ走る新幹線の雄姿への期待が今後、高まりそうだ。
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