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2009年01月27日(火) 18時43分

オバマ政権、温暖化防止で軌道修正 経済活動とのバランスなど課題産経新聞

 【ワシントン=山本秀也】オバマ米大統領は26日、自動車の排ガス規制を厳しくする方向を打ち出すなど、環境・地球温暖化対策に慎重だったブッシュ前政権の路線修正に踏み出した。環境対策が新たな経済需要を喚起するという「グリーン・ニューディール政策」で環境と経済の両立を図る狙いだが、米国経済が危機的な景気後退に落ち込む中、難しいかじ取りを迫られそうだ。

 オバマ政権は26日、地球温暖化防止問題の米政府特使にクリントン大統領(当時)の下で「京都議定書」の策定にかかわったトッド・スターン氏の起用を発表した。同氏の“再登板”は、米国経済の発展を阻害するなどの理由で同議定書の枠組みを脱退したブッシュ前政権からの路線修正を象徴した人事といえる。

 オバマ大統領はさらに、ブッシュ前政権が差し止めていた連邦基準よりも厳しいカリフォルニア州独自の排ガス規制について、認可に向けた検討作業に入るよう連邦環境保護局(EPA)に指示した。

 地球温暖化問題では、放置すれば「修復不能な環境破壊を招く」との認識を表明。外国産石油への依存を改め、代替エネルギーの開発など、米国が新エネルギーをつくることで、数百万人規模の雇用創出が可能になると訴えた。

 オバマ大統領は、フランクリン・ルーズベルト元大統領が、世界恐慌下で米国経済を復興させるため導入した経済政策に環境保護を重ねた「グリーン・ニューディール政策」の実施を選挙戦の段階から主張し、カリフォルニア州の排ガス規制についても、認可を拒むEPAの決定を覆すと公約していた。

 オバマ大統領は「すでに苦闘している産業界を苦しめることが目的ではない」と述べつつ、排ガス規制で矢面に立たされる3大自動車メーカー(ビッグスリー)に、車両の燃費向上など技術刷新を要求した。

 政府からの支援を受けるビッグスリーは、排ガス削減など環境面での需要に適した製品開発に「積極的に取り組む」(ゼネラル・モーターズ)とするなど、政権の方針に従う構えだ。

 しかし、新型車の開発に必要な新規投資や、排ガス規制強化で予想される販売の落ち込みなど、米政府の新たな環境政策が、短期的には自動車各社の苦しい経営をさらに圧迫することも予想される。

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