2009年01月26日(月) 21時22分
定額給付金「効果」あるの? 膨大な関連経費…国民負担ズシリ(産経新聞)
成立が確実となった平成20年度第2次補正予算の目玉である総額2兆円規模の定額給付金。国民への給付とは別に、給付事業の実施に825億円もの経費がかかる。うち給付金の振込手数料は約150億円に上り、自治体職員の残業代や給付申請書類の郵送代も発生する。標準世帯モデル(65歳未満夫婦、18歳以下子2人)で6万4000円もの“臨時収入”となる給付金だが、これには膨大な関連経費が国民負担としてのしかかるうえ、事務手続きも煩雑で、費用対効果を疑問視する声は依然、根強い。
■国債費年800億円増
政府は給付金の事務費として825億1300万円を計上しており、国の予算でその全額が賄われる。
給付金の支給方法は、金融機関への振り込みが原則。市区町村の指定金融機関を通じて、それぞれの世帯主の口座に振り込まれる予定だ。具体的に手数料をいくらにするかは、各自治体と指定金融機関の交渉で決まることになるが、政府は約150億円の費用が生じると見込んでいる。
さらに、給付手続きに伴う各自治体職員の残業代などの人件費約233億円を国庫で負担するほか、給付申請書類の郵送費にも約270億円がかかる見通し。総務省が自治体に示した要綱案には、広告料、印刷製本費なども国が負担する対象経費に含まれている。
今回の定額給付金など2次補正予算の経済対策にかかる2・6兆円分は、財政投融資特別会計の剰余金、いわゆる「埋蔵金」を活用する。本来は国債償還に充てる予定だった剰余金だ。今回の施策のため、国債費(利子・償還費用)は、毎年約800億円も膨らむ計算だ。
■準備作業は進まず
総務省は給付金支給の基準日となる2月1日を過ぎた後でも、ホームレスや「ネットカフェ難民」であっても、一定の居住の実態があれば、支給することを検討している。
ただ、「同じネットカフェに1〜2カ月程度滞在している実績がないと難しい」(総務省幹部)のが実情で、住民基本台帳から削除され、居所を転々とする人は「捕捉(ほそく)しようがない」(同)のが実態だ。
総務省はまた、当初、第2次補正予算が成立した直後に事業の実施要綱を策定し、正式に自治体側に準備の「ゴーサイン」を出すはずだった。だが、同省の滝野欣弥事務次官は26日の記者会見で「できるだけ速やかに策定したい」と述べるにとどまり、具体的な時期には言及しなかった。
総務省としては、年度内の給付開始に向けて準備作業を進めたいとの思いが強いが、財源の裏付けとなる関連法案が成立する前に支出が発生することを懸念する財務省との調整がついていない。
総務省としては約825億円の関連事務費だけでも前倒しで支出し、準備を進めたい立場だが、財務省は財源的裏付けのない支出には依然慎重な姿勢を崩していない。
【関連記事】
・
市区議会は「定額給付金」賛成多数
・
鳩山総務相“ニコニコ給付金”喜んで受け取ってほしい
・
【コラム・断】給付金の効果って
・
予算案、景気波及効果乏しい
・
消費より貯蓄? 増税見え隠れ 効果相殺
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090126-00000589-san-bus_all