2009年01月26日(月) 00時45分
<山形知事選>「温かい」県政に共感 吉村氏、現職破る(毎日新聞)
山形県知事選で25日初当選した無所属新人で元県教育委員の吉村美栄子氏(57)は、補助金の大幅カットなど思い切った改革を断行してきた現職の斎藤弘氏(51)を、小泉純一郎元首相が唱えた構造改革路線に重ね合わせて批判し、有権者の共感を得た。未曽有の経済危機の中、県民は行財政改革を推進してきた斎藤氏よりも、行き過ぎた改革と批判し、「温かい」県政を掲げた吉村氏を選択した。
選挙戦で最大の争点となったのは、斎藤氏の行財政改革への評価だった。吉村氏は「経済性・効率性だけが優先された県政を転換し、対話のある温かい山形を実現する」と訴えてきた。
吉村氏がやり玉に挙げた行財政改革は、4年間で人件費を累積200億円削るなど思い切ったものだった。山形県政史上初の県債残高減少を実現する一方で、農林水産関係の予算を4年間で165億円減らすなどの改革への反発も大きかった。
吉村氏を支援した民主党の県選出参院議員の舟山康江氏は「郵政解散を思い出してほしい。『改革を止めるな』と突き進んだ結果、格差が生まれ地方が大きな痛手を負った。斎藤県政も同じだ」と斎藤氏を厳しく批判。さらに、ブッシュ政権からオバマ政権に代わった米国を引き合いに「県政にも“チェンジ”が必要だ」と訴え、有権者の支持を集めた。
吉村氏に1票を投じたという山形市内表東、元自営業、佐藤常雄さん(69)は「女性の視点で無駄を減らし、この沈滞した経済状況を一変させてほしい」と期待をかけた。
ただ、吉村氏の選挙公約は実効性に疑問が残る。新たな財源確保策は知事退職金と副知事2人制の廃止で5000万円程度にもかかわらず農業予算は4年間で150億円アップを掲げている。
「心の通う県政が求められているということだと思う。早急に景気対策に取り組みたい」。当選後語った吉村氏だが、具体的な財源の裏付けがなければ公約も絵に描いた餅に終わりかねない。【大久保渉、林奈緒美】
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