記事登録
2009年01月26日(月) 00時00分

気温1度上昇で絶滅10%増 熱帯林破壊で大量のCO2中国新聞

 平均気温が一度高くなるごとに絶滅の危機にひんする生物種の数が10%ずつ増え、今後三十年間に東南アジアのサンゴ礁の88%が失われる可能性があるなど、地球温暖化が生物多様性に大きな悪影響を及ぼすとする報告書原案を、生物多様性条約の専門委員会が二十五日までにまとめた。

 報告書原案は「世界中にある熱帯林が(焼き畑などによって)破壊されれば、今後百年間に四千億トンの二酸化炭素(C02)が大気中に放出され、世界の平均気温が〇・六度上昇する」と、温暖化対策としての自然保護の重要性を強調。森林保護や自然再生を進めれば、温暖化対策と生物保護を両立できると指摘した。

 専門委は多様性条約と気候変動枠組み条約の連携促進のため設置。二〇一〇年、名古屋市での多様性条約締約国会議などに報告書を提出する。

 報告書原案によると、温暖化で大地などの乾燥が進み、南米・アマゾンの熱帯林が減少したり、東南アジアなどの泥炭湿地や北極の永久凍土の生態系が破壊され、土壌から大量の温室効果ガスが放出されたりする。これが温暖化をさらに進める悪循環が起きる危険も指摘した。

 現存する森林の保護や新たな植林などにより三〇年までに最大四十二億トンのC02排出削減が見込め、土壌の保全によってC02の吸収量を増やせるなどとして、生態系を生かした温暖化対策の重要性を強調した。

 さらに、途上国の森林破壊防止や森林再生によるC02削減分を、先進国に「排出枠」として売る仕組みを実現するよう提言。各国政府には自然保護区の拡大や発展途上国の森林保全への協力強化などを求めた。

http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp200901260064.html