東京都は26日、築地市場の移転先となっている豊洲地区(江東区)の土壌から強い発がん性物質のベンゾ(a)ピレンが公表値の115倍の濃度で検出されていたのに、公表していなかったと発表した。
また都が豊洲地区で汚染状況を調査した際、地下水を通しにくい不透水層にある粘性土の有無を2地点で確認できず、汚染対策を検討する専門家会議に報告していなかったことも明らかにした。
都は専門家会議などで「不透水層があるため、地下に汚染が広がる可能性は低い」と説明していた。近く2地点のそばでボーリング調査をし、結果は専門家会議に報告するという。
都は2007年5月、専門家会議を設置。同11月の会議で、土壌1キロ当たり最大5・1ミリグラムのベンゾ(a)ピレンを検出したと報告した。その後の08年6月末、調査会社から最大590ミリグラム検出されたと報告を受けたが会議には伝えず、公表もしていなかった。
都は専門家会議が終了した後の08年11月になって、会議の委員にメールで内容を通知、安全性について問い合わせたという。
都は「ベンゾ(a)ピレンは環境基準の対象ではない。都条例に基づいた調査の後、まとめて公表するつもりだった」と説明。土壌の加熱処理で対応できるため、影響はないとしている。
汚染状況の調査は08年3月から6月末まで441地点で実施したが、2地点で粘性土を確認できなかった。豊洲地区には有楽町層と呼ばれる不透水層があり、2メートルから20メートルの厚さで粘性土が続いているという。
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