離婚前に妊娠し、民法の「300日規定」で出生届の受理を拒否された岡山県の女性が26日、妊娠が離婚前か後かで異なる扱いを受けるのは法の下の平等に反し違憲として、子の法定代理人として居住地の市と国に330万円の損害賠償を求め岡山地裁に提訴した。
問題となったのは、離婚後300日以内に生まれた子は「前夫の子」と推定する規定。この規定で出生届が受理されず無戸籍となった子を救済するため、法務省は2007年5月、離婚後の妊娠を証明すれば300日以内の出産でも現夫の子などとして出生届を受理するよう通達を出した。
女性の弁護士によると、この通達をめぐる違憲提訴は初めて。
訴状によると、女性は06年2月に前夫と結婚し、直後から暴力を受けたため同年9月から別居。08年3月に離婚が成立した。同年11月に女児を出産、市に出生届を提出したが〈1〉出産が離婚後300日以内〈2〉妊娠が離婚前の2月と推定される—ことを理由に現夫の子としての出生届は受理されず、女児は無戸籍となった。
女性側は「妊娠が離婚前になったのは、前夫が自らの暴力で婚姻を破綻(はたん)させたのに協議離婚を拒み、訴訟でも事実を争ったため」と主張。出生届不受理を「不合理な差別」としている。
また、前夫には別居後の06年10月、岡山地裁からドメスティックバイオレンス(DV)防止法による保護命令が出ており、実質的に妊娠の機会はなかったとしている。
女児は現在、現夫の戸籍に入るために岡山家裁で認知調停中。
女性は昨年12月に提訴予定だったが、行政の対応を見極めたいと延期していた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090126-OHT1T00165.htm