今度は自民党をどげんかする—。就任から3年目を迎えた宮崎県の東国原英夫知事(50)がインタビューに応じ、これまでの2年間を振り返るとともに、今後の政局を大胆に語った。来る総選挙では「新党も含めた政界再編は必ずある」と予告。そんな中で、自民党再生の条件として「東国原総裁」を視野に入れたハチャメチャな手法が必要とぶち上げた。
麻生内閣の支持率は10%台に急落。さらに「喜美の乱」で元行革担当が離党するなど、自民党は超低空飛行を強いられている。9月までには確実にある総選挙。9割に迫る支持率を誇る人気知事が見た今後の政局は?
「予測は全く不能ですが、連立や新党も含めた政界再編だけは、必ずあるということ。景気と雇用、社会保障対策などできちんとした対応を取り、中長期ビジョンを示せれば、自民党にも打開の目はある。でも、政府与党は何をやっても評価されないという風潮が、国民の間に広がってしまった」
昨年10月。お騒がせ発言で中山成彬氏(宮崎1区)が次期総選挙への出馬を断念、事実上の引退を表明した。その後任として自民党は、知事の擁立に乗り出す。これを受け、知事も菅義偉選対副委員長と密会。テーマは「衆院選初当選、初入閣」だった。
事実、知事も翌11月に延岡市内で行われた政治資金パーティーで「(国会議員に)なるからには、閣僚かトップ(首相)。初当選、初入閣」と威勢よくぶち上げている。しかし、その会談の内容について聞こうとすると…。
「えっ、それは私の方から出ている話? 菅氏の方からなら、私が話すのはやめておきましょう」
口を濁すのには訳がある。国政転身が騒がれた際、「“今のところ”ありません」というコメントに終始。状況が変われば、出馬もありえるというスタンスを貫いたつもりだったが、メディアには煮え切らない態度と映った。言質を取ろうとする取材に対し、自身のブログで批判を展開。カメラマンと関係者が、乱闘寸前の事態に発展したこともある。周囲には「任期を全うすると明言し、出馬するとなった場合、それは県民にウソをつくということになる」と漏らした。
昨年1月に発足の「地域・生活者起点で日本を洗濯(選択)する国民連合」(せんたく)には、発起人として参加。「政界再編の呼び水になる」と言われながら、今は開店休業状態が続く。そんな状況も、知事のいらだちに拍車をかけるのか。
「僕にはいくつかの選択肢がある。ただ、衆院選を政権選択選挙とするために、与野党にマニフェストを提示させ、国民世論を喚起するというのが、せんたくの役割。北川(正恭)代表の考え方です」
北川氏の考え方は尊重するという。その一方で自民党、民主党にかわる新党構想、その旗振り役になり、せんたく分裂の可能性も示唆する。
「僕が北川さんの立場なら、新党をイメージした国民運動になる。僕は先生に言わせてもらったんです。『新党とか政界再編の一翼を担うつもりはあるのか』と。そしたら『違います』。代表が言うなら、代表の考え方には従わなくてはいけないが…」
自民党が麻生氏に見切りをつけ、新総裁の下で総選挙を戦う状況も考えられる。「なるからにはトップ」と発言した知事は、自民党総裁のイスにまだ、興味があるのだろうか?
「私が自民党総裁ですか。面白いんじゃないですか。それくらいのウルトラCがないと…。いままでの派閥や歴史は大切ですが、自民党のこれまでのようなやり方を変えないと再生はない。国民は見放すでしょう。米国に黒人の大統領が誕生する時代です。政治は生きものであり、硬直化してしまうと腐敗化が進む。だから、立ち止まってはいけないのです」
3月には都内で2000人規模の政治資金パーティーを開催する。政界再編のキーマンは「劇団ひとり」ではなく、やはりこの人なのか。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090126-OHT1T00069.htm