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2009年01月25日(日) 08時01分

一般企業に公的資金 政投銀出資、政府が保証産経新聞

 金融危機に伴う景気悪化に対応するため、政府が公的資金を活用して銀行だけでなく、一般企業にも資本注入する制度を新たに設けることが24日、分かった。民営化された日本政策投資銀行が、企業が発行する議決権のない優先株などを購入して行う。優先株の引受先企業が破綻(はたん)し、損失が生じた場合は、政府系金融機関の日本政策金融公庫を通じて公的資金による損失の穴埋めをする仕組み。政投銀による出資を促して企業の経営基盤強化を図るのが狙い。

 平成21年度予算案の関連法案として、今国会に産業活力特別措置法(産業再生法)の改正案を提出する予定で、週明けにも改正案を閣議決定する。

 米国に端を発する金融危機の影響は金融機関だけでなく、製造業などの企業にも波及している。自動車や液晶テレビなどの販売不振は深刻で、トヨタ自動車は21年3月期で1500億円の連結営業赤字を予想しており、ソニーも同期の連結営業赤字が2600億円になる見通し。これまで国内の景気を牽引(けんいん)してきた大手企業が軒並み苦境に陥っている。

 政府は企業の資金繰り対策として、21年度予算案に政投銀による1兆円の低利融資枠を盛り込んだが、経営環境が好転しなければ経営基盤そのものの強化も必要になると判断。金融危機で一時的な業績不振に陥りながらも成長性があり、地域や業界にとって重要度の高い中堅・大企業を対象に新制度を活用する考えだ。

 制度の利用に際しては、産業再生法に基づく企業の事業計画が経済産業省に認定される必要がある。新制度は21年度予算案に計上された1兆円の融資枠の活用を念頭に置いている。政投銀は現行でも企業に出資しているが、政府の信用補完をつけることで、より出資しやすくなる。

 政府は今後、自民党などとの調整を本格化させる。資本注入の制度は危機対応のための時限措置となる見通しだが、自民党などとの調整や今後の景気状況次第で支援期間や支援対象、資金枠の大幅拡大につながる可能性もある。そうなれば、22年度予算案にも改めて必要な予算が盛り込まれることになりそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090125-00000056-san-bus_all