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2009年01月25日(日) 03時02分

差し押さえ“禁制品”ネット売却に「待った」、戸惑う自治体読売新聞

 国や自治体が税滞納者からの差し押さえ品などをインターネット売却する「官公庁オークション」で、希少動物の剥製(はくせい)や、医療機器のマッサージチェアがかけられるケースが相次ぎ、環境省や厚生労働省が調査に乗り出した。

 剥製でも絶滅の恐れのある動物の販売は種の保存法に違反し、マッサージチェアの無許可販売は薬事法に触れる。自治体側は「まさか売ってはいけないものとは……」と戸惑っている。

 環境省によると、島根県は2007年2月、南西諸島などに生息するウミガメの一種タイマイの剥製を、秋田県鹿角(かづの)市も08年2月、クマタカの幼鳥の剥製を出品した。いずれも、ネットに出たところで動物保護団体の指摘などを受け、取り下げた。

 財政再建団体の北海道夕張市は07年8月、市が所有する剥製のヒョウを売りに出したが、やはりサイトを見た人から指摘され、売却をやめた。夕張市の担当者は、「売れるものは何でも売りたくて、つい確認を怠った」と話している。

 また、オークションを運営するヤフーによると、マッサージチェアは07年以降、少なくとも国や自治体など13団体が16台を出し、13台売れた。厚労省も今年初のオークションで、数件の出品を確認している。

 1台4万8000円で出して17万1000円で落札があった東京国税局は、「差し押さえ品を現金に換える換価であり、販売ではない」と主張する。

 これに対し、厚労省は「(ネットでの公売も)販売にあたり、違法だ」と指摘している。「売ってはいけないものとは知らなかった」(福井県)と話す担当者もいる。

 ネット公売は売れ行きが好調で、参入する自治体は増えている。差し押さえ品については、国税徴収法で禁止品目が示されているが、公売の規制については具体的に触れていない。

 ヤフーは自治体などに出品の判断を任せている。

 総務省はネット公売を勧めているが、「国や自治体が法を守れないのはお粗末。適切に対応してほしい」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090125-00000004-yom-soci