ソニー、三洋電機、三井金属など大手企業が非正規労働者だけでなく、正社員の削減を相次いで発表、雇用調整の強化を打ち出し始めた。金融危機の深刻化をきっかけとする世界的な景気後退や円高で、収益が急速に悪化しているためだ。
国内の雇用は、金融機関が不良債権処理を進め、製造業などがリストラを加速した二〇〇二年以来の「危機的状況」になるとの見方も出てきた。
電機大手のソニーは主力の薄型テレビなどが極度の不振に陥り、〇九年三月期連結決算で過去最大の営業赤字を計上する見通し。これを受け、国内外で約八千人もの正社員を削減する計画を発表し、二月から国内で早期退職者を募る。
今春にパナソニックの子会社となる三洋電機も半導体事業が低迷し、グループ五社で約五百人の正社員削減に乗り出す。
非鉄大手の三井金属は、主要取引先である電機メーカーなどへの販売が落ち込んだことなどから、国内で約五百五十人の正社員を減らす。
電機と同様に業績が悪化しているトヨタ自動車など自動車大手は、派遣社員など非正規労働者を減らしているものの、まだ国内で正社員には手を付けていない。しかし、自動車シート大手のタチエスが自動車減産のあおりを受け、二月から四十五歳以上の正社員を対象に百人の早期退職を募集するなど、影響はすそ野に広がりつつある。
総務省の労働力調査によると、昨年一—九月平均の正規職員・従業員数は三千四百一万人で、前年同期比で〇五年以来、三年ぶりに減少した。来月下旬に発表される昨年十—十二月の数値は、企業収益の悪化を反映し大幅に減少する見込み。
昨年十一月の完全失業率(季節調整値)は3・9%だが、正社員削減の動きは今後本格化するとみられる。〇二年には完全失業率が過去最悪の5・5%を記録した月が二度あったが、非正規労働者も含めた雇用情勢の急激な悪化で「(近い将来)最悪を上回る」(舛添要一厚労相)との見方も出ている。