【ワシントン24日共同】オバマ米大統領は二十四日、就任後初めての週末の国民向けビデオ演説に臨み、八千二百五十億ドル(約七十三兆円)規模の大型景気対策による経済効果を説明した。太陽光や風力、バイオ燃料などの代替エネルギー生産能力を三年間で倍増させる一方、エネルギー効率の悪い連邦政府ビル改修で省エネを図り、年間二十億ドルのコスト削減を目指す。
三百万人から四百万人の雇用創出を掲げる景気対策の波及効果について、大統領が具体的な数字を挙げて包括的に説明したのは初めて。大統領は「(大型景気対策は)ただ金を落とすのではない。役立つことへの投資だ」と強調、大規模な財政出動への理解を求めた。
大統領はこれに先立つ二十三日、景気対策法案の早期成立に向けホワイトハウスに民主、共和両党の議会指導部を招き超党派の協力を要請した。
大統領は二月中旬までの法案成立に自信を示したが、財政出動の規模抑制や一層の減税拡大などを求める共和党側が民主党主導の法案の内容や議事運営に不満を表明。大統領は来週議会を訪問、共和党指導部とあらためて意見交換する。
大統領はビデオ演説で、代替エネルギー生産能力を倍増させ、延べ三千マイル(約四千八百キロ)以上の配電網を新設すると表明。連邦政府ビルの75%に加え、民家二百五十万戸の改修に着手し、一世帯平均三百五十ドルの光熱費削減につなげると訴えた。
また「二十一世紀に対応する米国の再建」として数千マイルの道路改修、主要港湾九十カ所の安全性強化、緊急時に備えた警察の通信網整備、数百万人へのブロードバンド網拡充を実現するとした。
医療分野では、五年以内に医療記録を完全電子化することで数十億ドルの医療コストが削減できると説明。教育分野では一万校の学校を改修するほか、低所得者用の政府給付奨学金を拡充、新たに七百万人の利用が可能になると指摘した。