景気が急速に悪化する中、低価格で楽しめる立ち飲み居酒屋が人気を集めている。
名古屋市中村区のJR名古屋駅。在来線3、4番ホームにある立ち飲み屋「どえりゃあ亭」は連日、午後6時前後には仕事帰りのサラリーマンらで満杯になっている。
発泡酒300円、日本酒200円、おでんの厚揚げや大根は100円……。どれも普通の居酒屋の半分以下の手頃な価格とあって、店の外で順番待ちをする客も多い。
同店によると、このホームには武豊線や北陸方面へ向かう列車が発着するが、東海道線や中央線に比べて利用者が少ないため、10年以上前、低価格での営業を始めた。長年、常連客らが中心だったが、昨秋以降は新規の客も増え、わざわざ入場券(140円)を購入して来る人も目立つという。
帰宅途中に1人で立ち寄った同区、男性会社員(41)は、おでん数品をつまみに発泡酒2杯を飲んでほろ酔い気分で、ちょうど1000円の勘定にも満足顔。ただ、勤務先の同市中区の会社は、自動車産業の不振に伴い、昨年、派遣社員数人の契約を更新せず、正社員も残業がなくなった。「以前は帰宅時間が遅く、この店にはなかなか来られなかっただけに複雑な気分。これ以上、景気が悪くなれば、自分もどうなるか……」と不安を隠さない。
通勤には名鉄を使っているが、2週間に1度ほど、入場券を買って立ち寄る愛知県一宮市の男性会社員(56)は、「普段から小遣いを節約しているが、この安さは本当にありがたい」とうれしそう。残業がなくなり、最近は小遣いも減ったという名古屋市守山区の男性会社員(44)は「立ち飲みなので、ほかのお客さんと気軽に会話できるのも魅力」と笑顔で話した。
一方、同駅西に一昨年5月オープンした立ち飲み居酒屋「角打」は、10人も入ればいっぱいになる3坪の広さ。串カツ(80円)や串揚げ(100円〜)などが人気メニューで、出張で来ている会社員らでにぎわう。それでも、経営者の角田眞吾さん(45)は「不況の影響なのか、ここ数か月は出張のサラリーマンの姿が減ってきている」と話していた。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090116-754442/news/20090125-OYT1T00389.htm