ガソリン代を踏み倒して、関越自動車道を新潟から埼玉まで約130キロ走って逃走したとして、埼玉県警本庄署は23日、福島市飯坂町の無職・露崎和紀容疑者(36)を詐欺の疑いで逮捕した。露崎容疑者は一銭も持たずに関越道に乗り、料金所の手前で「刑務所に入れてほしい。捕まえてください」と自ら110番通報。同署によると、昨年までは別の罪で福島刑務所に収容されており、昨年11月に出所したばかりだったという。
東京方面へ逃げて、いったい、何をどうするつもりだったのか? 無職男の不可解な大逃走劇は、22日午前8時20分ごろ始まった。犯行現場は、JR上越線越後堀之内駅近くの魚沼市内にあるガソリンスタンド。露崎容疑者は「満タンにして」と店員に指示し、ガソリン33・5リットルを入れさせた。店員が伝票を取りに車から離れたすきに、代金3383円を払わずにそのまま車で逃走した。
料金を踏み倒した後は、スタンドから約5キロ離れた魚沼市のインターチェンジで関越道に乗り、東京方面に逃走。無一文では料金所を通過できないことに途中で気づいたのか、約1時間20分後に埼玉県・上里町の上里サービスエリアから携帯電話で自ら110番通報。「捕まえてほしい」と犯行を打ち明け、駆けつけた本庄署員に逮捕された。逃走距離約130キロ。東名高速ならおよそ東京—富士川サービスエリア間に匹敵する距離だ。
同署によれば、露崎容疑者には無賃乗車と器物損壊の前科があり、昨年11月まで福島刑務所に収容されていた。出所後は両親と一緒に暮らしながら仕事先を探していたが、見つからなかった。犯行に使用した車は、車検に出している自家用車の代車だったという。
露崎容疑者は寝泊まり、食事に不自由しなかった福島刑務所内での生活を思い出したのか、「食うに困っていた。刑務所に入った方が楽に暮らせると思った」などと供述。同署では、新潟へ行った理由や東京を目指した目的などについても捜査している。
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