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2009年01月24日(土) 21時43分

<ガザ>停戦1週間、復興進まず イスラエルが封鎖継続毎日新聞

 【エルサレム高橋宗男】パレスチナ自治区ガザ地区でイスラエルとイスラム原理主義組織ハマスが停戦入りしてから25日で1週間。戦闘は沈静化しているが、イスラエルが封鎖を継続しているため、破壊された町の再建は進んでいない。ガザ地区の復興には早くも暗雲が漂っている。

 戦闘によるガザ地区の被害は20億ドル(約1800億円)に達するとされる。イスラエル軍は21日にガザ地区からの撤退を完了し、人道物資の搬入を加速したが、ガザ境界検問所の完全開放には応じていない。鉄鋼やセメントなどの建設資材についても「ロケット弾製造に利用される可能性がある」として搬入を禁止している。

 ハマスは被害者に総額2860万ユーロ(約33億円)の補償金を25日から支給すると発表した。内訳は(1)全壊家屋4000ユーロ(2)部分崩壊2000ユーロ(3)死者1人当たり1000ユーロ(4)負傷者1人当たり500ユーロ−−など。ただ、イスラエルが封鎖を継続する限り、復興の見通しは立たない状況だ。

 エジプトは現状の不安定な「停戦」を永続化するための調停を再開。22日のイスラエル側との個別協議に続き、24日にはハマス代表団と協議に入る。イスラエルは、06年6月にハマスに拉致され拘束されたままのイスラエル軍兵士の解放を、検問所開放の交換条件にすることも検討している模様だ。

 一方、イスラエル軍のガザ攻撃を巡っては、国連や国際人権団体が「国際人道法違反」「戦争犯罪」などと非難しているほか、住民から「残虐行為」の証言が相次いでいる。イスラエル政府は25日にも、国際法違反の訴追を回避するため国家を挙げて軍関係者を支援する法案を承認する見通し。すでに国内メディアに対し、作戦にかかわった現場指揮官らの特定を禁ずる報道管制を敷いている。

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