2009年01月24日(土) 16時29分
<日本手話>聴覚障害者教育の教職課程で義務化 社会事業大(毎日新聞)
日本語とは文法などが異なるろう者独自の言語「日本手話」を使える教員を育てようと、日本社会事業大(東京都清瀬市)が今春から、聴覚障害者を専門とする特別支援学校教員の教職課程に進む学生に、日本手話の履修を全国で初めて義務化する。国の特別支援教育の教職課程では手話そのものが必修ではない。手話を使える教員数さえ不明で、聴覚障害者の教育を受ける権利を守る取り組みとして注目される。
日本手話は、聴覚障害者の間で自然発生的に生まれた「言語」。日本手話を母語とする聴覚障害者は少なくない。日本語とは文法や表現方法が異なり、日本語の文法・語順に合わせて単語を並べる「日本語対応手話」とは区別される。
ろう学校教育は相手の唇の動きを読み取る「聴覚口話法」を教えるのが主流で、日本語対応手話を含め、手話は実質禁止されていた。90年ごろから導入され始めたが、手話ができる教員数は把握すらされていない。
これまでは、聴覚障害児が日本手話で学びたいと望んでも、教える人も環境もなかった。昨年4月に日本手話で授業をする初の私立学校「明晴学園」(東京都品川区)が開校。北海道教育庁は今年度から、道内ろう学校の教員向けに日本手話の研修を始めたが、極めて例外的だ。
日本社会事業大は、「日本手話」計90時間の履修を教職課程に進む条件とする。課程に進んだ後も、日本手話だけで授業を行う課目などを設定。教育実習は明晴学園で行うことを検討している。
同大の斉藤くるみ教授(言語学)は「この教職課程を経た教員たちを社会に送り出し、日本手話を母語とする聴覚障害者の教育を受ける権利を守りたい」と話している。【蒔田備憲】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090124-00000057-mai-soci