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2009年01月24日(土) 08時04分

被害者参加制度 適切な訴訟指揮不可欠産経新聞

 犯罪被害者や遺族が、傍聴席と被告を隔てる柵を越えて公判に参加した。被告への質問や求刑の意見を述べることで、遺族らにとっては法廷がより多くの納得や救済を得られる場に変わる可能性がある。

 ただ、5月に始まる裁判員制度に与える影響は未知数だ。そもそも被害者参加制度は、裁判員制度の制度設計段階では想定外だった。調書に頼らず法廷でのやりとり中心で、「見て、聞いて分かる裁判」を目指す裁判員裁判では、正視に堪えない証拠が示されることもある。

 東京都江東区の女性殺人事件の公判では、裁判員制度を意識した検察側が、遺体損壊の過程などを視覚的に明かし、被告自身の口で語らせた。残虐性を浮き彫りにする狙いだが、一時、遺族が法廷を出るなど、立証と遺族への配慮のバランスに課題を残した。

 最高裁が模擬裁判結果をまとめた報告書は、被害者参加制度について、遺族らの尋問などが裁判員に不当な影響を与える可能性に言及、遺族らと検察官が「密接なコミュニケーション」をとって、適切な尋問を行う必要性を指摘した。

 しかし、裁判員が感情に流される懸念のほか、遺族と被告の間でトラブルが起きる可能性や、痛ましい記憶をよみがえらせた遺族らが参加を後悔することもあり得る。

 裁判員制度のもとで、被害者参加制度を機能させるには、検察官と遺族らの信頼関係構築にとどまらず、被告の弁護人、そして裁判所もあわせた連携と、適切な訴訟指揮が欠かせないだろう。(酒井潤)

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