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2009年01月24日(土) 17時00分

朝青龍“懸賞”と“懸念”増大…優勝で品行悪さ復活か夕刊フジ

 明らかに風向きが変わってきた。これまで朝青龍といえば、人一倍、注目はされても、肝心な人気は今ひとつだったはず。それが懸賞獲得王レースにも反映し、去年、宿敵白鵬を上回ったのは22回目の優勝を飾った春場所だけ。それもわずか3本差だった。

 今場所、この争いに異変が生じている。その日の来場した人によるファン投票で1位になった取組に懸賞を付ける、というユニークな懸賞に“森永賞”というのがある。スポンサーはキャラメルなどで有名な森永製菓で1951年の初場所以来、半世紀以上も続いている懸賞の老舗である。13日目までの森永賞の獲得レースで朝青龍の取組が8回と、2位で5回の白鵬の取組に大きく水を空け、圧勝状態なのだ。

 負けが込み、すぐにも引退に追い込まれるのでは、とみられた今場所前半にファンの関心を集め、投票数が増えたのは分かる。しかし、その危機を脱した中盤以降も、一向に人気は衰えない。14日目は、今場所初めて白鵬よりも多く懸賞が懸かる。いまや、アンチヒーロー、憎まれ役のカタマリだった男が大ヒーローと化し、人気が定着しているのだ。

 この予期せぬ現象に協会幹部もビックリ。「今の大相撲界にとって、朝青龍は不可欠な存在。多くの関係者が改めてそのことを痛感したんじゃないか。今場所、もし朝青龍がダメになっていたら、間違いなく優勝争いも盛り上がらず、館内には閑古鳥が鳴いていたよ」と高砂部屋に近い関係者は貢献度大の朝青龍効果に胸を張った。

 ただ、これで新たな心配も出てきた。今でも抑えが利かない朝青龍のわがままや暴言。この場所前、自分に声をかけたNHK解説者の舞の海さんに「顔じゃないよ(言える身分ではないという相撲界独特の言葉)」と言ったり、場所中もネット上で襲撃予告した犯人に「俺が殺してやろうか」と物騒な言葉を浴びせ、武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)も苦虫をかみつぶした。

 もし白鵬に競り勝って“奇跡”ともいえる復活優勝をしたら、いや、優勝はしなくてもそれに近い成績を挙げたら、いよいよブレーキが利かなくなるのは目に見えている。すでに前科はヤマのようで、土俵外でも、がけっぷち。この連勝が新たな危機の呼び水にならないか。

 一難去っても、また新たな難題が。大相撲界に不安や悩みは、消えるときがない。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090124-00000018-ykf-spo