現在の携帯電話は、2年ローンでの販売が主流になっている。もしローンの途中で、盗難・紛失に遭ってしまうと、高額な負担になるので注意。各社の補償制度に加入することを勧めたい。(テクニカルライター・三上洋)
盗難・紛失では「2年縛り」が問題に前回の「携帯の電話帳・画像をバックアップしておこう」に引き続き、携帯電話の盗難・紛失対策を紹介しよう。
携帯電話の盗まれたり、紛失したりした場合、いわゆる「2年縛り」が大きな問題となる。「2年縛り」とは、各社が数年前から始めた新しい販売制度で、2年使い続けることを前提として、端末代金や料金を安くする制度のこと。また携帯電話のほとんどが2年ローンで販売されていることも問題となる。例えば2年ローンで買ったばかりの携帯電話を盗まれたと仮定しよう。この場合、ユーザーは次の2つの負担を覚悟する必要がある。
●盗まれた機種のローン残額盗まれたり紛失したりした携帯電話のローン残額。例えば5万円の機種で約2000円のローンで購入していれば、2000円×ローンの残り月数のお金を支払わなくてはならない。注意すべきは店頭での「実質負担金」よりも高くなること。実質負担金は、料金割引を含んだものなので、盗難・紛失時の負担は本来の端末代金となる。また2年縛りの販売制度では、契約解除料がかかってしまう。
●新しい機種の購入携帯電話がみつからなかった場合は、新しい機種を購入することになる。この購入金額は通常と同じだが、料金割引に注意が必要だ。店頭での価格は「実質負担金」として表示されているが、前述の通り、これは2年間の料金割引を含んだ金額。盗難・紛失時には、既に以前の機種での料金割引があるから、2重の割り引きはできない。結果として実質負担金ではなく、正規の高額なローンになる。
ちょっとわかりにくいが、2年ローンと2年縛りによって、途中での盗難・紛失は高額な負担になることは間違いない。一部の携帯電話会社は軽減策を用意しているが、それでもかなりの負担が必要だ。
各社が用意している補償制度 携帯電話の補償制度 携帯電話会社NTTドコモauソフトバンク 補償制度名ケータイ補償お届けサービス安心ケータイサポートあんしん保証パック 月額料金月額315円月額315円月額498円 主な内容・水ぬれ、全損、紛失、盗難、破損、故障を補償盗難・紛失時の高額な負担を避けるために、各社は補償制度を用意している。いずれも月額料金がかかるが、盗難・紛失時でも負担がゼロもしくは小さくなるため、万が一のときに役立つものだ。
NTTドコモの「ケータイ補償 お届けサービス」は、月額315円であらゆるトラブルに対応できるもの。盗難・紛失時でも、同等のリフレッシュ品を負担ゼロで届けてもらえる。リフレッシュ品とは外側カバーなどを新しくして新品同様にした携帯電話のこと。この補償制度に入っていれば、水濡れなどのトラブルにも対応できるので安心できる。
auの「あんしんケータイサポート」は、月額315円で盗難・紛失時の買い替えをサポートする補償サービス。2年縛りのフルサポートコースの場合なら、「フルサポート解除料」がゼロになる。また新しい携帯電話を買う場合の割引制度もあり、シンプルコースなら最大1万8000円、フルサポートコースなら最大2万1000円割引される。
ソフトバンクの「あんしん保証パック」は、月額498円で盗難・紛失時に新しい携帯電話を特別価格で購入可能。また修理代金が無料になるほか、水ぬれや全損などのときも5250円で修理してもらえる。
このように各社とも、2年縛り・2年ローンに対応する補償制度がある。月額315円から498円の料金がかかるが、盗難・紛失時の保険と考えて加入するといいだろう。
原則として端末購入時に加入する必要ありなおこれらの補償制度は、原則として端末購入時に加入する必要がある。ソフトバンクの「あんしん保証パック」は途中での加入が可能だったが、2009年2月1日から端末購入と同時の場合のみ加入できるように変更されている。携帯電話の買い替えの際に、補償制度への加入を検討しよう。
盗難・紛失時のちょっとした裏ワザとして、手元にある古い機種を活用するという方法もある。NTTドコモとソフトバンクでは、契約データの入ったSIMカード(ドコモはFOMAカード)を入れ替えれば、古い機種でもすぐに利用できる。
そこで盗難・紛失に遭ったら、各社の公式ショップでFOMAカード再発行・SIMカード再発行を申し込む。2100円の手数料がかかるが、身分証明書などを持っていけば、原則として再発行が可能だ(対応できない場合もあるので事前に各社窓口に電話で相談のこと)。再発行してもらったSIMカードを、以前の携帯電話機に挿せば、そのまま利用できるので便利だ。いざという時のために覚えてきたい。
http://www.yomiuri.co.jp/net/security/goshinjyutsu/20090123nt0b.htm