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2009年01月23日(金) 22時21分

大分の造船所でタラップ外れ2人死亡、24人けがスポーツ報知

 23日午前9時半ごろ、大分市青崎の南日本造船大在工場で、建造中の自動車運搬船に架けられたタラップが外れて落下、タラップを移動中の作業員松尾洋一さん(53)=大分市大道町=と、同黒木善友さん(58)=同市寺崎町=の2人が頭を強く打つなどして死亡した。ほかに作業員24人がけがをし、うち城純次さん(31)=大分県臼杵市=が重体。

 工場側によると、タラップを船側で固定していたフックのボルト4本のうち3本が、海中から折れた状態で見つかった。タラップの耐荷重は約1・5トンだったが、現場責任者らはこうした数字を把握せず、1度に乗る人数を制限していなかった。事故当時タラップの設置作業が遅れ、待機していた40人近くの作業員がタラップに殺到したという。

 フックの強度に対して重量オーバーだった可能性があり、県警は業務上過失致死傷の疑いもあるとみて事故原因や工場側の安全管理体制について調べている。

 工場側の説明によると、タラップは鉄製で長さ約27メートル、幅約1メートルで、2個のL字形フックで船体に固定。フックとタラップの結合部は、直径二センチのボルト二本でそれぞれ固定していた。

 タラップを架ける際、クレーンの不調で作業が遅れ、待機していた作業員は午前9時20分ごろ団子状になって一気にタラップを上り始め、約10分後に事故が起きた。

 フックは、陸上から船に斜めに架けるためメーカーに特注したもので、使用するのはこの日が初めてだったが、工場側ではフックの強度テストは実施せず、タラップ落下防止のためのワイヤも設置していなかった。

 南日本造船によると、大在工場は昨年5月に完成した同社3番目の大型船製造工場。自動車運搬船は全長約200メートル、幅約32メートル、総トン数は58、631トン。現在内部を建造中で、3月末に完成予定だった。

http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090123-OHT1T00137.htm