犯罪被害者や遺族が刑事裁判に参加する制度が適用された交通死亡事故の公判が23日、東京地裁(小池勝雅裁判長)で開かれた。制度適用が公表されたケースで、実際に被害者側が出廷したのは全国で初めて。
公判では、死亡した男性=当時(34)=の妻と兄が検察官の隣に着席。被告人質問では兄が、自動車運転過失致死罪に問われた被告の男(66)に「事故現場で手を合わせたのか」などとただし、その後は妻が「被告は反省していない。実刑判決を強く望みます」と求刑の意見を述べた。
検察側は禁固1年6月を求刑、弁護側は寛大な判決を求めて即日結審した。判決は2月20日。
被害者参加制度では、被害者や遺族が被告人質問や法定刑の範囲内での求刑意見が可能となり、昨年12月1日から実施。5月に始まる裁判員制度への影響も指摘され、公判が注目されていた。
この日は、公表に同意しなかった被害者の男性が参加した恐喝未遂事件の公判も東京地裁で別に開かれ、被害男性が被告に質問をした。
交通事故の起訴状によると、被告は東京都千代田区で昨年8月1日、トラックで交差点を右折した際、直進のバイクに衝突し、男性を死亡させたとされる。同12月1日に在宅起訴された。
23日の公判で、妻と兄は弁護士とともに出廷。求刑意見で妻は「(フランス料理のシェフだった)夫は自分の店を出す夢をかなえられず、大切な5歳の娘の成長も見られない。被告は自宅に1度来たが、『2時間かかった。警察に言われたから来た』と薄ら笑いをしていた」と厳しい被害感情を述べた。
参加制度とは別に、被害者の母親も被害感情について意見を述べた。
今回の2事件の遺族や被害者は、いずれも昨年12月に地裁が参加を許可していた。
http://hochi.yomiuri.co.jp/topics/news/20090123-OHT1T00259.htm