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2009年01月23日(金) 19時25分

大手製薬会社が「最終面接中止」 「就活」環境悪くなるばかりJ-CASTニュース

 「派遣切り」に続いて、新卒学生の採用内定を取り消す「内定切り」が問題化するなか、選考を通過して最終面接までこぎ着けたのに、「採用計画が変わった」として「最終面接中止」を言い渡す外資製薬企業もあらわれた。採用予定人数をしぼって採用計画を発表する企業は少なくないが、一度始まった選考作業を途中で打ち切るのは異例だ。採用環境が急激に悪化していることを浮き彫りにした出来事だ。

■最終面接に残れば、半分は内定をもらえる

 選考作業の打ち切りが明らかになったのは、仏大手製薬会社「サノフィ・アベンティス」日本法人(東京都新宿区)。サノフィ・アベンティスは04年、仏製薬大手サノフィ・サンテラボが、同アベンティスを買収して誕生。調査会社のユート・ブレーンの調べによると、07年度に同社が全世界で売り上げた医薬品の額は434億ドルにのぼり、米ファイザー社(444億ドル)に次いで、世界第2位という規模だ。全世界の従業員数は約10万人で、日本法人では約3000人の社員を抱える。

 突然の採用停止が決まったのは、臨床開発職。製薬会社ではMR(営業)職など複数の業種が存在するが、その中でも開発職は「花形」とされる。J-CASTニュースの調べでは、例年は2500〜3000人の応募者の中から、4〜5人程度しか採用されない「狭き門」。もっとも、同社では「採用人数は非公表」とコメントしている。さらに、2006年4月〜08年4月の3年間は、新卒入社自体がなかった。09年4月には4人が入社するとみられ、現在行われている採用活動は、2010年4月に採用予定の「復活2年目」。筆記試験や面接など選考作業が進み、少なくとも8人に、最終面接の案内が行われたとみられる。

 ところが、同社コミュニケーション部の説明によると、採用面接2日前の09年1月20日になって、「医療費の抑制など、急激な外部環境の変化が起こった」として、開発職の新卒採用の中止が決定。同日、応募者に対して、電話で「最終面接中止」が連絡されたという。同社のある社員によれは、採用があった過去数年の開発職の最終面接には10人程度が呼ばれ、倍率は2倍程度。つまり「半分は内定している」とも言える状況で、学生にとってはショックが大きい。

■「連絡を受けた時、正直、頭の中が真っ白になりました」

 就職活動に関する情報サイト「みんなの就職活動日記」には、「面接取り消し」を受けた学生のものとみられる悲痛な書き込みが並んでいる。例えば、こんな具合だ。

  「臨床開発職は世間に数多くあれど、サノフィのvalueで働くことができる臨床開発職は、サノフィにしかない。サノフィでしか実現できない夢もあると思う。
  連絡を受けた時、正直、頭の中が真っ白になりました。
  切替えに時間がかかるかもしれませんが、また心底働きたいと思えるような会社を探したいと思います」

  「いままでの選考に費やしたお金・時間・労力を返してほしい。何も最終まで呼んどいて。景気が悪いからと言って本社フランスの言いなりになる、最悪最低の会社だと思います」

掲示板上では「フランスの本社の意向で採用中止が決まった」との声がある一方、同社では「今回の採用中止は、日本法人の判断によるもの」と説明している。

 前出の同社社員も、

  「開発職は高倍率なだけに、応募者は会社への思い入れも強い。さらに、製薬会社を受ける人は、製薬会社しか受けない人が多く、今後の活動が心配だ」

と、同情的だ。

 文部科学省が09年1月23日に発表したところによると、全国の大学や短大を卒業予定の学生のうち、753人が09年1月5日までに内定の取り消しを受けたことが分かっている。それ以外にも、「内定辞退を示唆」「採用時期の後ろ倒し」など、企業から何らかの連絡を受けた学生も456人にのぼっている。

 今回の「最終面接取り消し」のようなケースを踏まえると、今後も、就職活動の環境が厳しくなるのは間違いなさそうだ。


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