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2009年01月23日(金) 23時17分

被害者参加 東京地裁で初の公判 思い訴える毎日新聞

 昨年12月に始まった被害者参加制度に基づき、遺族や被害者本人が出廷した2件の公判が23日、東京地裁で開かれた。最高裁によると、被害者が公判に参加した全国初のケースとみられる。被害者側は、被告への質問や量刑の意見で思いを訴えた。

 東京都千代田区で昨年8月、バイクの飲食店従業員の男性(当時34歳)をトラックではねて死なせたとして、自動車運転過失致死罪に問われた運転手の男(66)の初公判には、男性の妻(34)と兄(35)が参加した。

 被告は起訴内容を認め、情状面の評価が焦点。男性の兄は被告に「あなたの考える誠意とは何か」と尋ねると、被告は「線香を上げさせていただき謝るしかない」と答えた。検察側が禁固1年6月を求刑後、男性の妻が「人生で最も大切な人を失い、心から笑うことはもうない。実刑を強く望む」と涙ながらに意見を述べた。弁護側は執行猶予を求めて即日結審した。判決は2月20日。【北村和巳、伊藤一郎】

 ◇ことば 被害者参加制度

 犯罪被害者団体の訴えなどを受け、07年6月の刑事訴訟法改正で導入され、昨年12月に施行された。被害者や遺族は、裁判所に認められれば「被害者参加人」として検察官の隣に座り、情状面に関する証人尋問、被告への質問のほか、検察官とは別に求刑意見を述べることができる。サポートする弁護士も付けられ、資力が少なければ国費で賄われる。対象事件は殺人や傷害、性的暴行、誘拐、交通死傷事故など。

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