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2009年01月23日(金) 19時16分

被害者参加制度 事故遺族「実刑を」と量刑に意見 東京地裁で2件産経新聞

 事件の遺族や被害者が刑事裁判に参加し、被告人質問をしたり、求刑や量刑に意見を述べられる被害者参加制度に基づき、遺族らが参加した全国初のケースとみられる2件の公判が23日、東京地裁で開かれた。このうち自動車運転過失致死罪に問われたトラック運転手、海野尚康被告(66)の公判には、被害者の妻が出廷。検察側の禁固1年6月の求刑に対し、具体的な量刑には触れなかったが「誠意のない被告に殺されました。実刑を強く望みます」と意見を述べた。

 制度は昨年12月に始まり、同月の改正少年法施行で可能となった少年審判の被害者・遺族傍聴とともに、犯罪被害者支援が一層進むことになった。一方で、5月に始まる裁判員制度では裁判員が被害者の感情に流され、これまでよりも重い判決を導き出すのではとの懸念も指摘される。

 海野被告は昨年8月、東京都千代田区で車を運転中、右折の際に直進してきたバイクの男性会社員=当時(34)=と衝突。男性を死亡させたとして起訴された。

 出廷した男性の妻は検察側の論告に続いて、量刑に関する意見を述べた。妻は、被告が事故後、1回しか謝罪に訪れていないことなどから「心から反省しているとは思えない」と怒りをあらわにした。検察側も、冒頭陳述や論告で遺族の被害感情を中心に主張を組み立て、被告人質問では今後の謝罪の方法などを詳細に聞いていくなど、遺族の思いに基づいた立証を行った。

 もう1件は、東京・新宿の路上で男性に暴行したとして傷害罪などに問われた飲食店従業員、相蘇義士(21)、伊藤瞬(21)両被告の公判。被害者の男性が被告人質問を行い、被告に対し罪の意識について尋ねるなどした。

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