残業続きや休日出勤で買い物の時間もなかなか確保できない女性にとって頼りになるのが、パソコンや携帯電話上で必要なものを選ぶと自宅に商品が届くインターネットサービスだ。
最近は生鮮食品も買えたり、レンタルサービスが登場したりと、便利さが高まった。(田渕英治)
まとめ買いで配達無料東京都内の出版社に勤める由香さん(仮名、45)は、数年前からもっぱら、自宅にあるパソコンが“買い物場所”になっている。「週末に肉や野菜、調味料などのほか、トイレットペーパーのようなかさばる品をまとめ買いします。1万円前後は使いますね」
由香さんが利用するのは、西友(東京)が首都圏で展開する「ネットスーパー」だ。パソコンや携帯電話で注文した商品が、原則その日に届く。価格は店頭と基本的に同じで、通常525円の配送料も5000円以上の購入で無料になる。「以前は週末に買い物するしかなかったが、今はその時間を自分や子どものために使えます」と由香さん。
チラシよりも早い特売情報ネットスーパーでは、店頭の特売品情報を一足先に入手できるメリットもある。西友の広報担当者は「チラシ配布日は木曜ですが、ネットスーパーのホームページには水曜の夜までに同じ情報が掲載され、その場で注文できます」と話す。同社の場合、1週間先の予約注文も可能なので、水曜の夜に翌週水曜の特売品を押さえておくことができる。
西友マーケティング本部マネジャーの高松万里さんは「約16万人の会員の8割以上が女性で、特に30〜40歳代の利用が多い」と説明する。配送を午後8〜10時の遅い時間帯まで指定できるため、仕事の合間に注文し、帰宅後に受け取る利用者もいるという。ネットスーパーはイトーヨーカ堂(東京)など、他のスーパーにも広がっている。
ブランドバッグのレンタルもネットの利用は、食品や日用品の購入にとどまらない。都内在住のフリーアナウンサーの理絵さん(仮名、41)は、洋服の購入をネットに頼っている。子どもが小さく、買い物の時間を取りにくいからだが、「若者向けのブランドでも、ネットなら店員や他の客の目を気にせずに買える点もいい」と照れ笑いする。
高額なかばんをネットで借りるサービスも、女性に人気だ。世界文芸社(東京)が展開するブランドバッグの宅配レンタル事業「オーブ」は、買うと数万〜20万円以上の高級品が、1週間2800〜6800円、1か月9800〜1万9800円で借りられる。
期間中は商品の取り換えが何度でも可能(送料別)。「通勤用とパーティー用のかばんを、必要な時に交換して使っています」(都内の女性会社員28)といった使い分けが多いという。
ただ、ネット特有の問題も当然ある。都内の化粧品会社勤務の佳代さん(仮名、43)は、洋服をよく海外ブランドの通販サイトで買っていたが、最近は利用していない。「日本で買うより2〜3割安いのが魅力でしたが、届いた商品のサイズが合わないトラブルもありました」と話す。
日本消費者協会広報部長の三浦佳子さんは「ネット通販は買い物の手間や時間を短縮できるし、商品の比較検討も簡単で便利」と評価する。ただし「気軽に使える分、無駄な買い物も多くなりがち。クーリングオフ(契約後一定期間内なら無条件で解約できる制度)も適用されないので、買う前に一度冷静になり、本当に欲しいものかを考えてほしい」と注意する。
ネット通販アドバイス 利用規約などをよく読む……返品・交換の条件や業者の問い合わせ先を確認する 購入記録は保存する……画面を印刷してきちんと残しておく 自分の個人情報をむやみに提供しない……一度外部に流出すると取り返しがつかない