大手半導体メーカーが減産やリストラを加速させている。世界同時不況で自動車やデジタル家電の市場が急速に縮んだため、これまでの積極投資が裏目に出て設備の過剰感が経営の重しとなっている。
21日には、DRAM専業のエルピーダメモリと台湾の同業3社との経営統合構想が明らかになるなど、再編に活路を求めるメーカーも出てきた。(滝沢康弘)
DRAM価格、1年半で6分の1に代表的な半導体メモリーであるDRAMの価格は07年以降、供給過剰や景気悪化の影響で下落基調となり、この1年半で約6分の1まで値下がりした。製造コストを下回る取引価格が続く「異常な状態」(エルピーダメモリ)だ。
東芝は1月から、携帯電話や携帯音楽プレーヤーに使われるNAND型フラッシュメモリーの生産量を3割減らした。自動車や携帯電話に使われるマイコンを生産するルネサステクノロジは、08年末時点の生産ラインの稼働率が6割程度にまで落ち込んだ。市況の値崩れを受け、富士通の半導体子会社は3月末までに派遣社員400人を削減する。ルネサスは派遣社員1000人の削減に加えて、正社員を対象に数百人規模で早期退職を募集する。
エルピーダメモリは台湾3社との統合により、シェア(市場占有率)23%、世界2位となる。経営環境が厳しさを増す中、経営規模を拡大することでコスト削減や生産調整が行いやすくなる利点がある。
富士通は半導体子会社を東芝など他社の半導体部門と統合させる構想だ。実現すれば年1000億円超とも言われる投資負担が軽くなる。
関係者の間には「赤字の会社同士がくっついても、赤字が大きくなるだけ」との冷ややかな見方もあり、再編が抜本的な解決策となるかどうかはなお不透明だ。