ソニーは22日、2009年3月期連結決算の営業損益が昨年10月予想の2000億円の黒字から、2600億円の赤字に転落する見通しになったと発表した。営業赤字は14年ぶりで、赤字幅は過去最大。これを受けて、国内で正社員の早期退職者の募集などリストラを加速する。
世界景気の悪化が深刻化する中、液晶テレビなどの販売不振や急激な円高が直撃。トヨタ自動車や日産自動車なども今期、営業赤字に陥る見通しで、日本経済をけん引してきた大手製造業の業績は総崩れの様相を強めている。
22日、都内で記者会見したハワード・ストリンガー会長は「景気激変などで大変厳しい試練の時」と強調。生産体制の見直しや人員削減などを通じて、09年度にグループ全体で約2500億円のコスト削減を目指すリストラ策も同時に発表した。
国内では正社員の早期退職者の募集のほか、テレビ関連で子会社ソニーイーエムシーエスの一宮テック(愛知県一宮市)の生産を6月をめどに終了。同社の稲沢テック(同県稲沢市)に移管し、非正規社員約1000人を削減する。
ソニーは昨年12月に世界全体で正社員8000人を含め1万6000人以上の人員を削減する計画を公表しているが、国内外の内訳など詳細は明かさなかった。
中鉢良治社長は「聖域なき改革で、固定費の削減に取り組む」と述べ、リストラ策を追加する可能性を示した。
ストリンガー会長、中鉢社長ら代表権を持つ3人は経営責任を明確にするため、08年度の役員賞与を全額返上するほか、管理職の賞与なども大幅に減額する。
営業黒字を見込んでいた昨年10月時点と比べ、主力のエレクトロニクス事業で液晶テレビやデジタルカメラなどが販売不振に陥り、激しい競争で価格も急速に下落したことが最大の下方修正要因。売上高も従来予想の9兆円から7兆7000億円に大幅に引き下げた。
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