オバマ米大統領は22日、キューバのグアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設を1年以内に閉鎖し、拷問との批判も出た「水責め」などの過酷な尋問方法を禁じる大統領令を出す。拷問が表面化した同施設や「水責め」は人権より治安を優先したブッシュ前政権のテロ対策の「暗部」で、オバマ氏にとってイラク撤退計画策定指令に続く「変革」第2弾。
国防総省によると、グアンタナモの施設には現在、国際テロ組織アルカイダ幹部ら約250人が収容されている。閉鎖には容疑者を出身国や米国内の他施設などに移送する必要があるが、一部の国は受け入れを拒んでおり、新政権による説得が早期閉鎖の鍵となる。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、オバマ氏は22日、米中央情報局(CIA)が自白を強要するために設置したとみられる米国外の秘密収容所閉鎖も命じる見通し。
オバマ大統領は就任した20日、基地内に設けられた特別軍事法廷にテロ容疑者の審理を120日間停止するよう要請。法廷側は21日からアルカイダ幹部らの審理を取りやめている。
ホワイトハウスによると、オバマ氏は22日午前、2年間で8250億ドル(約73兆円)規模を投入する景気対策を経済チームと話し合った後、軍の関係者と同施設閉鎖問題を協議。
同施設については、ブッシュ前政権の一部閣僚も閉鎖を主張したが、チェイニー前副大統領らの反対で頓挫した。「水責め」は大量の水を口や鼻に注ぎ込み、自供を迫る取り調べ方法で、アルカイダ幹部に用いられた。
オバマ氏は同施設閉鎖を公約。就任演説でも「安全を取るか(米国の)理想を取るか」という二者択一的な発想を拒否、テロ対策転換を訴えた。(共同)
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