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2009年01月22日(木) 16時29分

【総連事件公判 佳境】(4)契約書に誰が判を押したのか? 満井被告「知りませんでした」(14:15〜14:35)産経新聞

 《検察官は満井忠男被告に対し、朝鮮総連中央本部の土地・建物の売買契約が成立した平成19年5月31日に関する質問を始めた》

 検察官「(満井被告が実質支配する)医療電子科学研究所で夜に締結された土地・建物の契約には立ち会いましたか」

 満井被告「はい」

 《検察官は契約書を示した》

 検察官「各契約書に(緒方重威被告が代表を務め、契約の受け皿会社となった)ハーベスト投資顧問の社判と代表者印を押したのは誰ですか?」

 満井被告「わかりません」

 検察官「では、こちらの朝鮮総連中央会館の社判と代表者印を押したのは誰ですか?」

 満井被告「その場には(朝鮮総連側は)土屋(公献・元日弁連会長)先生と趙(孝済・朝鮮総連常任委員)さんがいたので、そのどちらかと思うのですが…」

 検察官「趙さんが押したという記憶はありませんか」

 満井被告「ありません」 検察官「(契約書の)書面を見たのは、このときが初めてでしたか?」

 満井被告「そうですね…。『読んだ』というか『見た』という感じですね」

 《検察官は、契約に立ち会いながらも誰が契約書に判を押したか明言できない上、契約書の文面も読み込んでいないという満井被告のいい加減さをいぶかしんでいるようだ》

 検察官「(契約書を事前に)土屋弁護士事務所に届けたということはありましたか」

 満井被告「いえ」

 検察官「土屋弁護士も趙さんも(契約のため)集まったときに初めて見たということになるのですか」

 満井被告「わかりません」

 《検察官がもう一度契約書を示す。契約書の中に訂正部分があることに触れ、質問を続けた》

 検察官「土屋弁護士はこの書面を初めて見たので訂正を求めたということですか?」

 満井被告「そういうやり取りがあったのは聞いていました」

 《ここから検察官は契約における朝鮮総連側の人物について、満井被告がどのように認識していたかを質問した。契約をする上で、相手がどのような人間だったかを知っていたかどうかも重要なポイントだ》

 検察官「許(宗萬・朝鮮総連責任副議長)さんの立場についてはどのような認識でしたか?」

 満井被告「『実質的な朝鮮総連のトップ』という風に紹介を受けていました」

 検察官「総連に徐萬述さんという人がいるのは知っていますか? 契約書に名前が出てきますが」

 満井被告「名前も聞いたことがないので、どうこういう立場ではありません」

 検察官「朝鮮総連議長だったということは知りませんでしたか?」

 満井被告「この間、わかりました」

 検察官「趙さんについては、どういう立場だと理解していましたか?」

 満井被告「財務担当だという風に理解していましたが、私は趙さんと本件取引の話をしたことがなかったので、許さんの助手や手伝いをされている方だと思っていました」

 検察官「どういう権限を持っているか理解していなかったのですか」

 満井被告「分かりません」

 《傍聴席から見て裁判長の右隣に座る左陪席裁判官が、これまでの満井被告の供述内容の確認を始めた。満井被告が『総連側から金を受け取っている』ということを初めて緒方被告に伝えたという19年6月14日のやり取りなどを聞き、さらに質問を続ける》

 裁判官「5月26日に(共犯とされる)河江(浩司)元被告と緒方被告がAさん(投資候補者だったとされる航空ベンチャー会社社長)と会った後、2人から報告を受けましたね」

 満井被告「はい」

 裁判官「2人はAさんがいつまでに金を用意できると言っていたと報告してきましたか」

 満井被告「緒方先生が『Aさんは好青年で北朝鮮への理解も持っているので自分も協力したい…』」

 裁判官「結論を言ってください」

 《簡潔に答えを言わない満井被告の言葉をさえぎった》

 満井被告「(2人が)『(Aさんが協力してくれそうな)投資家がいるので金を動かせるようにしておきますよ』と言っていました」

 裁判官「具体的な日にちは出ていないのですか?」

 満井被告「出ていました。(2人が)『6月18日に(朝鮮総連が土地建物の競売をめぐって裁判をしていた)整理回収機構(RCC)の判決日なので、少なくともその日までに取引が終わっていないと困ると(Aさんに)伝えたら、Aさんがそれは心配ないと言っていた』と報告してきました」

 《裁判官は満井被告が本当にAさんの投資話を信じていたかどうかを確認した。詐欺が成立するか否かの重要な部分だ》

   =(5)に続く

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