記事登録
2009年01月22日(木) 16時06分

【総連事件公判 佳境】(3)“受領書”の文言の違い、自ら「論理はあまりない」(13:55〜14:15)産経新聞

 《満井忠男被告に対する緒方重威(しげたけ)被告の弁護人による尋問が続く。弁護人は、満井被告が朝鮮総連側から詐取したとされる計4億8400万円を受領した際の書面が「預かり証」「仮受領書」などとタイトルがつけられていた点について質問を重ねる。満井被告はよどみない口調で答えていくが、内容は要領を得ない》

 緒方被告の弁護人「朝鮮総連側から5900万円を受け取った際の書面には、『受領書』となっています。それまでに2回、現金を受け取った際の「預り証」「仮受領書」とは、どこが違うのですか」

 《検察側の冒頭陳述によると、緒方、満井両被告が詐取した計4億8400万円は、3回に分けて総連側から受け取っている。弁護人のいう「それまで2回」とは、ともに平成19年4月18日に受け取った3億円と1億2500万円のことだ。最後の5900万円は4月24日に受け取ったとされる》

 満井被告「論理はあまりないんですね。許さん(朝鮮総連の許宗萬・責任副議長)と話したところでは、5900万円の一部は平成19年1月から4月までの固定資産税だと。これを含めて、数字的には…」

 緒方被告の弁護人「(途中で遮り)3つの預り証は、満井被告自身が事務員に指示して作成させたものですか?」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「具体的にどういう指示をしたのですか?」

 満井被告「私が、これまで話した通りに指示してですね、要するに…」

 緒方被告の弁護人「(途中で遮り)タイトルや金額も指示したと」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「タイトルや金額以外の部分は、同じ文言になっているのですが、満井被告は、タイトルと金額を指示したのですね」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「判子を押したのも満井被告ですか」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「最後の5900万円はサインになってますが、満井被告のサインですか」

 満井被告「これは、最初の3億や1億2500万円は、事務所に判子が置いてあり、許さんが持ってこられたので、押したと。(5900万円を受け取った)4月24日は当日、突如として許さんから電話があったので、サインになりました」

 《満井被告に対する弁護側の質問はここで終了した。続いて検察側による質問が始まった》

 検察官「5900万円を受け取った際の書面を『受領書』とした意味を、もう1度説明してください」

 満井被告「私が(平成19年4月)23日夜、許さんと話して、(朝鮮総連中央本部の売買価格が)30億から35億になった話をして…」

 検察官「(途中で遮り)端的にお答えください」

 満井被告「この時点で取引が進んでいたし、固定資産税が入っているということでしたから」

 検察官「では、2回目に現金を受領した際に『仮受領書』としたのは、なぜですか」

 満井被告「経理処理を後日にやらないといけないから…」

 《異なるタイトルにしたことについて、自ら「論理がない」と話す一方、理屈をつけて説明を試みる満井被告。検察官は詳細に詰めることはなく、韓国人の商社社長から平成18年3〜5月、満井被告が受けとった計120万ドルに関する質問に移った》

 《この120万ドルについて検察側は、韓国人側に返済する必要のない金で、総連から詐取した現金の一部と相殺しようとしていたと主張。満井被告は120万ドルのうち7000万円は、実際に返済する必要があったと主張している》

 検察官「満井被告は緒方被告に対して、『120万ドルの一部を韓国人に送金して』と言ったことはありますか?」

 満井被告「受け取ったときには言ってません」

 検察官「その後に言ったことは?」

 満井被告「具体的に言ったことはありません」

 検察官「具体的でなくても、いくらという金額は言ったのですか?」

 満井被告「120万ドルの一部の60万ドルについては返してくれと言ってくることもあると思っていまして、具体的に緒方先生には話していませんが、返してくれと言ってくる可能性が…」

 検察官「(途中で遮り)緒方被告に対して『韓国人に送金してください』、『いくらで』と言ったのか、言わなかったのか」

 満井被告「『韓国人の意向を確認して、送金してもらうこともあります』と言いました」

 検察官「金額は?」

 満井被告「60万ドルです」

 検察官「韓国に対する海外送金の際は、100万ドルを超えるとまずいという話がありましたが」

 満井被告「違います。韓国から日本に送金する場合は、100万ドル以上と以下とで手続きが違うようだと、韓国人から聞いたという話です」

 検察官「日本から韓国への送金手続きでもそうなのですか?」

 満井被告「それは韓国人から聞いたことがありません。そのへんは深く考えたことがありません」

 《ちぐはぐとした問答が続く。満井被告が思わず「かみ合っていませんね」と苦笑いをみせたが、検察官は厳しい表情を崩さない》 

  =(4)に続く

【関連記事】
【朝鮮総連事件】終盤戦、満井被告は何を語る きょう、第31回公判
【総連事件公判 佳境】(1)「それじゃーダメだよ」勝手に金を流用しようとした部下を叱責
【総連事件公判 佳境】(2)「正確には覚えていません」満井被告のあやふやな記憶に弁護人は…
【朝鮮総連事件】「犯罪にあたらないと確信」 緒方被告の弁護人証言
「日本には誠意通じない」北朝鮮の党機関紙

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000575-san-soci