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2009年01月22日(木) 15時45分

【総連事件公判 佳境】(2)「正確には覚えていません」満井被告のあやふやな記憶に弁護人は…(13:35〜13:55)産経新聞

 《緒方重威(しげたけ)被告の弁護人は、緒方被告が朝鮮総連の資金とは知らずに、満井忠男被告から1億円を受け取ったと印象づけようとして必死の様子だ。1億円は、韓国人の商社社長への返済金として満井被告から預かったというこれまでの主張を裏付けるため、繰り返し詳細に質問していく》

 緒方被告の弁護人「(韓国人から借りたとされる)1億500万円は会計処理上、どうなっていたのですか?」

 満井被告「緒方先生が六千数百万、私が三千数百万円借り入れた形になっていました」

 緒方被告の弁護人「緒方先生に渡したときは、どのような帳簿上の処理になっていましたか?」

 満井被告「私が借りた金を緒方先生に一本化し(て、預けた)たのです」

 緒方被告の弁護人「3000万円を渡したときに、(緒方被告に)その趣旨を話しましたか?」

 満井被告「前の日に緒方先生に話しておきました」

 緒方被告の弁護人「その場では、話しませんでしたか?」

 満井被告「『3000万円渡しますから、(前に渡した7000万円とあわせて)1億円の預かり証を下さい』と言いました」

 《質問は「そもそも満井被告が朝鮮総連から4億8400万円を引き出したことを、緒方被告が知っていたか」に移る。緒方被告は、総連本部の登記移転が終わった平成19年6月11日ごろまで知らなかったという主張だ》

 緒方被告の弁護人「あなたの“獄中ノート”に『(総連から)3億円預かっていることを緒方先生に話した』という記述があります。この3億円は、5月15日に東京都内の弁護士グループから前倒しで支払いを求められた3億5000万円のことですよね」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「すでに、(総連からの資金を)預かっていると緒方先生に話したことはありますか」

 満井被告「ありません」

 緒方被告の弁護人「取り調べの検察官に、そう話したことはありますか」

 満井被告「ありません」

 緒方被告の弁護人「そうすると、この記述は、どういうことでしょう」

 満井被告「それはちょっと、複雑なことがあったのです。3億5000万円の前払いについては、許さん(許宗萬・総連責任副議長)と、5月16日か17日に話し合ったのです。そのとき、私が『3億5000万円払えますか』と聞くと、許さんは『無理です』と言いました。(東京都内の)パレスホテル10階です。私が『そのうち1億円は私が出しますから、2億5000万円はどうですか』『1億5000万円ではどうですか』というように話をしたのです。許さんは『もう1回積算してみる』と言って、帰りました。その日の夕方に『5000万円はなんとかする』と電話があったのです。あと3億円をどうするかという問題があったのですが、『私が3億はなんとかしましょう』という話をしたんです。正確な会話の流れは覚えていませんが、そういうことがあったのです」

 緒方被告の弁護人「それを、緒方先生に話したのですか」

 満井被告「(3億5000万円の前払いについては)『大丈夫ですよ』とは言いました。いま、ノートを見てないから、正確なことは言えませんが…」

 《緒方被告に朝鮮総連に資金を受け取ったことを話したのか、話さなかったのか、はっきりしない満井被告の答え。弁護人の表情からは、少しイライラした様子がうかがえる》

 緒方被告の弁護人「正確ではないんですか?」

 満井被告「そうだったかなあと。逮捕されてからいろいろありましたから。『3億』という数字を言ったかも覚えていません」

 緒方被告の弁護人「3億かどうかは別として(獄中ノートには)『金を一部受け取ったことを(緒方被告に)話している』と受け取れる記述がありますが、緒方先生には話していないのですね」

 満井被告「はい」

 《ここで別の女性弁護人が質問に立った。総連から資金を引き出した際に、4億2500万円分の預かり証などを発行した経緯を質問する》

 緒方被告の弁護人「あなたは預かり書と仮受領書を発行していますね」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「3億円の預かり書を発行していますが、なぜ(受取書などではなく)預かり書なのですか」

 満井被告「金主(弁護士グループ)に『3億円ぐらいかかる』といわれ、私がいったん預かったからです」

 緒方被告の弁護人「その中に(共犯とされる)河江(浩司元被告、有罪確定)の報酬の分も入っていたんですか」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「それは、あなたから河江に払うのではなく、金主から払われる予定だったのですね」

 満井被告「はい」

 緒方被告の弁護人「1億2500万円は、なぜ仮受領書だったのですか?」

 満井被告「(弁護士グループとの取引の)話がまとまると思ったからです。私の報酬の1億1500万円の他に、緒方先生の1000万円も入っていたので、これは別の処理になると思い、『仮』受領書にしたのです。とっさに私が考えたので、深い意味はありません」

     =(3)に続く

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