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2009年01月22日(木) 12時25分

【神隠し公判5日目】(4)「テレパシーを送ってくれていたのに…。ごめんね」…下水道から見つかった妹の骨(10:45〜11:00)産経新聞

 《東城瑠理香さんが行方不明になって数日間、東城さんの姉は眠れない日々が続いたが、どこかで必ず生きていると信じていたと証言する。検察側の姉に対する質問が続く》

 検察官「瑠理香さんが見つかったら、どうしてあげようと思いましたか」

 姉「抱きしめて、そばにいてあげようと思いました」

 検察官「瑠理香さんを助けられるのは、誰だと思いましたか」

 姉「私です」

 検察官「あなたは最終的に、仕事はどうしましたか」

 姉「やめました」

 検察官「平成20年4月18日を最後にやめたのですね」

 姉「はい」

 《4月18日は東城さんが行方不明になった日だ》

 検察官「瑠理香さんは、どこにいると思っていましたか」

 姉「海沿いの倉庫のような所に閉じこめられているのではないか。手足を縛られ、柱にくくりつけられているのではないかと思っていました」

 検察官「助けにいきたいと思いましたか」

 姉「思いました。警察に『外はマスコミがいっぱいいるので、出ない方がいい』と言われましたが、今はどこへでも探しに行けばよかったと思っています」

 検察官「瑠理香さんが死んだ、と思ったことはありますか」

 姉「全くありません」

 《事件から17日たった20年5月4日、東城さんの姉はいったん長野の実家に帰省する。姉は神棚を作り『瑠理香が帰ってくるように』と毎日、祈ったという。東城さんを心配して電話口で泣く友人と話しても、姉は一緒に泣けなかった。現実感がなかったからだという》

 検察官「長野では、警察からどんな連絡を待っていましたか」

 姉「『瑠理香が見つかった』という電話です」

 検察官「実際はどうでしたか」

 姉「瑠理香の持ち物のことを聞かれたり、そういった電話ばかりでした」

 検察官「瑠理香さんが発見されたら、瑠理香さんは同じ仕事が続けられると思いましたか」

 姉「思いません」

 検察官「同じマンションに住めると思いましたか」

 姉「あんな血がついたマンションには住めないと思いました」

 検察官「5月24日になって、918号室で動きがありましたね」

 姉「はい」

 《5月24日は、警察が星島被告宅を家宅捜索し、玄関やリビングの床から血痕を採取、血液反応を確認した日だ》

 検察官「あなたは(家宅捜索を)どう思いましたか」

 姉「やっと瑠理香に会えるのかなと思いました。『部屋にいたので、誰かが見つかったことを大声で教えてくれるんだ』と思いました」

 検察官「耳を澄ませるうち、夕方になりましたね」

 姉「はい」

 検察官「瑠理香さんが見つかったという知らせはありましたか」

 姉「ありません」

 検察官「この時点で、『瑠理香さんが死んでいるのかもしれない』とは思いましたか」

 姉「思いません。5月21日に、24日に動きがあるということは警察から聞いていたので、21日からずっと『24日に会えると思って耐えてきたのに』と思いました」

 検察官「星島被告の逮捕はいつ、誰に聞きましたか」

 姉「5月25日、警察から聞きました」

 検察官「殺されたとは聞きましたか」

 姉「聞いていません」

 《その後、姉は事件を報じるニュースを見て、初めて瑠理香さんが「殺害された」ということを聞いたという》

 検察官「ニュースを信じられましたか」

 姉「信じられません」

 検察官「警察に確認しましたか」

 姉「警察は『お亡くなりになられているかもしれません』と言いました」

 検察官「それでも帰ってくると信じていましたか」

 姉「はい。瑠理香の顔も体も見ていないからです」

 検察官「さらに数日後、下水道から瑠理香さんの骨が発見されました。どう思いましたか」

 姉「1カ月半も『早く見つけて』って、(下水道の)中でへばりついていたんだなと思いました」

 検察官「最初に見つかった骨は、(瑠理香さんのマンション近くの)サンクス前の下水道でした。これについてどう思いましたか」

 姉「事件があった後も、母とこのサンクスの前をよく通っていましたので、『テレパシーを送ってくれていたのに、気付かなくてごめんね』と思いました『早く見つけてよ、こんな汚い所は嫌だよ』と言っていたと思います」

 《ここで大型モニターに下水道の内部の写真が写った。赤茶けた薄暗い空間だ》

 検察官「ここで瑠理香さんの骨が発見されました。どう思いましたか」

 姉「想像しませんでした。何のために瑠理香は服や美容に気を使っていたんだろうと思いました」

 検察官「鑑定で、骨が瑠理香さんのものと確認されたとき、あなたは泣きましたか」

 姉「泣きませんでした」

 検察官「なぜですか」

 姉「殺される理由がないし、骨だけでは何もわからなかったからです」

 検察官「瑠理香さんが死んだと思えましたか」

 姉「思えません」

 検察官「瑠理香さんは星島被告と会ったことはあると思いますか」

 姉「ありません。マンションで人に会うと、『こんな人がいたよ』『こんなカップルがいたよ』と話してくれましたから」

 検察官「犯行は金曜日でしたが、事件がなければどう過ごすつもりでしたか」

 姉「一緒にお菓子を食べたり、お風呂に入ったり。いつもと同じように過ごしたと思います」

 《瑠理香さんが行方不明となって約3カ月後の7月16日。発見された瑠理香さんの遺体は小さな箱に入れられ、遺族のもとへと返された。7月18日に葬式、7月19日には「お別れの会」が開かれた。遺族らは今でも東城さんの死を受け入れることができず、墓は遺族らが瑠理香さんの死を理解してから作る予定だという》    =(5)に続く


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