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2009年01月22日(木) 18時35分

ウィルコム喜久川氏が次世代PHSの進捗を説明。3GのMVNOも検討Impress Watch


 ウィルコムは22日、同社の新製品や新サービスに関する発表会を開催した。初のおサイフケータイ対応端末やウィルコム回線を利用した無線LANルータ「どこでもWi-Fi」などが発表されたほか、ウィルコムが2009年のサービス開始を予定する次世代PHSサービス「WILLCOM CORE」の進捗も示された。

■ 次世代PHSを軸に無線LANや3Gなどを組み合わせて提供

 WILLCOM COREは、ウィルコムに割り当てられた2.5GHz帯を利用して展開予定の次世代PHSサービスで、ウィルコムでは「XGP」(eXtended Global Platform)と呼んでいる。当初は数十Mbps程度の通信速度を、将来的には上下とも100Mbpsの通信速度を実現する予定で、商用サービスを2009年10月に、試験サービスを2009年春に展開する方針が示されていた。

 ウィルコムの喜久川政樹代表取締役社長は、「4月下旬のエリア限定サービスおよび10月の本格サービスに向けてスケジュール通り進捗している」と説明。2008年12月に基地局および端末の無線局免許を取得して第1号基地局を同社に設置。今後は実フィールドでのエリア調査やチューニングを実施予定とした。

 現行のPHS基地局は日本中に約16万台が設置されており、「次世代PHSでは基地局のバックボーン回線を光化する必要があるが、その対応も進めている」と説明。「16万局もの基地局をすでに持っているのが競合他社との違い。場所はあるのであとは工事を進めるだけでいい」と自信を示した。

 対応端末の試作機も4月下旬のエリア限定サービスに向けて開発。エリアは山手線内側でトラフィックの高い一部エリアとなる予定で、発表会では試作機であるPCカード型のデータ通信端末も示された。

 XGPを利用した地域連携実験も展開。すでにデジタルデバイト解消を目的とした実証実験に関する協定を山形県と締結しているほか、京都府では観光向けのインフラ実験、広島県広島市ではデジタル債ねー時などを含む街の情報化に関する実証実験を行うとした。

 XGPや現行のPHS以外の通信回線も積極的に利用。すでにウィルコムでは公衆無線LANサービス「HOTSPOT」をオプションサービスとして提供しているが、今後は携帯電話事業者の3G回線を利用したMVNOの展開を予定するほか、固定の通信回線なども組み合わせ、「XGPを軸としてさまざまなサービスを組み合わせ、お客様に最適なデータ通信環境を提供する」との方針を示した。なお、3G回線を利用する携帯電話事業者は現在検討中だという。

■ PHSでコミュニティFM「サイマルラジオ」も配信

 発表会では、コミュニティFM放送をインターネット配信する「サイマルラジオ」が、ウィルコムの「WILLCOM 03」といったスマートフォン向けのインターネットラジオサービス「W+Radio」向けに1月22日より提供されることも発表。サイマルラジオを展開するコミュニティ・サイマルラジオ・アライアンス代表の木村太郎氏がそのコンセプトなどを説明した。

 サイマルラジオは、コミュニティ放送の自主制作番組をインターネット配信するWebサイトで、1月22日からはウィルコムnoW+Radioで全23局のコミュニティラジオが聴取できるようになる。W+Radioの利用料はパケット通信料のみで、サービス利用料などは必要ない。

 木村太郎氏は、「サイマルラジオのエリアはウィルコムの基地局よりも小さく、地域の中で聴けない人もいた」とし、「その補完としてインターネットで展開していたが、インターネットも使えない人に対していかに届けるかということを考えた時に、ウィルコムのPHSと出会い、このようなサービスを実現できた」とした。

 PHSでの展開によって「16万基地局というきめ細かいエリアでより密にラジオを聴くことができる」としたほか、「コミュニティ放送は防災時にも重要な役割を果たすという責任を嫁せられており、基地局が多く災害に強いと聞いているウィルコムは災害時の情報伝達ツールとしても評価できる」とコメント。「ラジオとインターネットに加えて新たにPHSという伝達方法を得ることで、ラジオ電波に頼っていたラジオが新しい時代を迎えるきっかけになるのでは」とした。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000027-imp-sci