2009年01月22日(木) 07時07分
東国原知事 23日就任2年 “外政”成果 展望に課題 公約達成 まだら模様 「視線は国政」くすぶる不満(西日本新聞)
宮崎県の東国原英夫知事は23日で就任から丸2年を迎える。知事選でマニフェスト(政策目標を具体的に示した公約)を掲げ、無党派層の支持を得て圧勝。芸人出身の発信力を武器に宮崎を全国にPRするなど“外政手腕”を発揮、改革派知事として国に物申す姿は「地方の代弁者」の地位を確立した。一方で国政転身に意欲をのぞかせ、県民には「任期全うは選挙時の約束だ」といぶかる声もある。 (宮崎総局・郷達也)
■「目玉」やり玉に
18日、宮崎市で開かれた知事のマニフェスト検証会。2年間の達成状況などを検証した早大マニフェスト研究所の林紀行事務局長(34)は「総合評価は84点。したたかなマネジメント」と採点した。就任から2年での採点では西川一誠福井県知事、古川康佐賀県知事などに次ぐ水準だ。
しかし、会場からは厳しい意見も。特に東国原知事が目玉施策として掲げた「新規立地企業100社、新規雇用創出1万人」の実現が困難であることがやり玉に挙げられた。
昨年末現在、立地企業は43社、雇用予定者は約2600人と、目標を大きく下回る。交通基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが企業進出のネックとなり、製造業や情報サービス業で従業員100人超の大型案件は、わずか2社。知事は「『100社1万人』の旗を降ろすつもりはない」と強調したが、景気後退が深刻化する中で同研究所からは見直しを求められた。
■支持率91、8%
とはいえ、マニフェスト85項目のうち4分の3にあたる65項目は「達成か順調」のA評価。前知事時代に起きた官製談合・汚職事件を教訓に最重要項目に掲げた入札改革もその1つで、談合の温床となる指名入札を廃止するなどして2007年度の落札率を前年度比約10ポイント減の83、9%にまで下げた。「100世帯移住」のように97世帯を達成、2年で目標間近に迫った項目もある。
このほか「やや遅れて進んでいる」のB評価は12項目。「100社、1万人」のようにC評価(かなり遅れているか、方針転換)とされたのは8項目にとどまった。東国原知事自身は「おおむね順調」との評価だ。
検証会を主催した日本青年会議所宮崎ブロック協議会が先月実施した県民アンケートでも支持率は91、8%。メディア取材は2年間で約880件に上り、人気は高い。
■「県政専念宣言を」
こうした中、県民が冷ややかな視線を向けているのが、知事の国政転身問題。昨秋、自民党の中山成彬衆院議員(宮崎1区)が失言問題で国土交通相を辞任し、次期衆院選への不出馬表明を表明、その後継候補に名前が挙がり、騒動となった。
知事は「今のところ考えていません」と繰り返す一方で、「即入閣」を転身条件に挙げ、3月には東京で2000人規模の政治資金パーティーを開催する予定だ。「県人会などの要望があったため。国政と絡んだ動きは一切ない」と知事は否定するが、「国政への足場固め」との憶測は消えていない。
ただ、県民の間では「せめて1期は務めてほしい」との声が根強い。ベテラン自民県議も「『県政専念宣言』でもして、県民を安心させるべきだ」と苦言を呈す。
宮崎公立大の有馬晋作教授(行政学)は「県民は、知事が国政の場で活躍する姿を想像できない。裏金問題など課題対応に追われた2年間だったが、今後はインフラ整備など中長期的な施策の説明が必要」と指摘した。
=2009/01/22付 西日本新聞朝刊=
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090122-00000008-nnp-l45