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2009年01月21日(水) 23時32分

【被害者参加制度】23日、全国初の公判 東京地裁で2件産経新聞

 被害者や遺族が裁判に出廷して、被告人に質問したり、求刑や量刑について意見を述べたりできる「被害者参加制度」が運用される公判が23日、東京地裁で2件開かれる。

 制度は昨年12月に始まったが、実際に遺族らが参加して公判が開かれるのは、全国初とみられる。昨年12月15日の改正少年法施行で可能となった少年審判の被害者・遺族傍聴とともに犯罪被害者支援が前進する。

 一方で、5月に始まる裁判員裁判では、裁判員が被害者の感情に流されるのではないかとの懸念もあり、裁判員制度への影響をはかる意味でも、23日の公判には注目が寄せられている。

 いずれの裁判も23日午後に開廷。1件は傷害罪などに問われた飲食店従業員の男の公判。男は昨年10月、東京都新宿区の路上で通行人男性に、「肩が触れた」などと言いがかりをつけて暴行したとされ、被害者の男性が公判への参加を申し出ていた。

 もう1件は、自動車運転過失致死罪に問われた運転手の男の公判。昨年8月、東京都千代田区でトラックを運転していた男が、安全確認を十分にせず右折した際、直進してきたバイクの男性=当時(34)=と衝突し、男性を死なせたとされる。男性の妻と兄が参加する予定になっている。

 被害者参加制度は平成196月に成立した改正刑事訴訟法に盛り込まれ、昨年12月1日以降に起訴された事件から適用。弁護士が代理で出席して、被害者らの意見を代弁することもできる。制度について「全国犯罪被害者の会(あすの会)」は「被害者の参加を目的に運動してきた。画期的な変革」と評価している。

 また、刑事裁判の判決後に被害者が損害賠償請求できる「損害賠償命令制度」も導入。有罪判決が出た後に、同じ裁判官が審理し、賠償額を判断する。これまで、刑事裁判と民事裁判が別に行われていたが、被害者の負担が軽減される。

 被害者参加制度では当初、釧路地裁での交通事故裁判が全国初の適用例になるとみられていたが、被害者側が参加の取りやめを申し出たため、取り消されていた。

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