【ワシントン=黒瀬悦成】20日に就任したオバマ米新大統領は、執務開始1日目となる21日、国家安全保障会議(NSC)および経済チームを相次いでホワイトハウスに招集し、政権の重大懸案であるイラク、アフガニスタンでの対テロ戦争と経済対策への取り組みを早くも本格化させる。
大統領は、政権発足直後から新政策を次々と打ち出し、「オバマ時代」の到来を国民に強くアピールする考えだ。
オバマ大統領は21日、ホワイトハウスにゲーツ国防長官、マレン統合参謀本部議長らを集め、イラクやアフガニスタンの情勢に関して協議する。ホワイトハウスの側近が米メディアに語ったところでは、大統領は会議の席上、イラクから駐留米軍戦闘部隊を16か月以内に撤収させるとした公約を実現させるため、国防総省に撤収計画の策定を指示する。
会議には、イラクやアフガンを管轄する米中央軍のデビッド・ペトレイアス司令官もビデオ回線を通じて参加し、治安の悪化が深刻化しているアフガンの戦況好転に向けた提言を行う見通しだ。
オバマ大統領はまた、イスラエルとパレスチナ自治政府による中東和平を後押しする特使として、ジョージ・ミッチェル元民主党上院議員の指名を21日にも発表する見通しだ。イスラエルがイスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を停止したのを受け、停戦の恒久化に向けた迅速な関与を目指す。
一方、オバマ大統領は20日、キューバ・グアンタナモ米海軍基地内のテロ容疑者収容施設の閉鎖問題をめぐり、収容犯を裁く特別軍事法廷での裁判を120日間凍結するよう同法廷の検察団に命令した。オバマ政権はこの間、軍事法廷に代わる裁判手法を検討するなどして、施設閉鎖に向けた動きを加速化させるものとみられる。
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