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2009年01月21日(水) 01時48分

中国マフィア「振り込め」と接点 資金源確保狙い?産経新聞

 宮城県警に逮捕された東京都内の振り込め詐欺グループの男が、都内の中国人マフィアと密接につながっていることが20日、警視庁と県警の調べで分かった。男は、マフィアのトップが実質的に経営する会社の社長を務めているほか、マフィアが関与した疑いのある恐喝事件の関係先として自宅を警視庁に家宅捜索されていた。警視庁などはマフィアが安定した資金源を獲得するため、振り込め詐欺に進出した疑いがあるとみている。中国人マフィアと振り込め詐欺グループの接点が判明するのは初めて。

 振り込め詐欺グループの男は墨田区東向島、会社社長、阪倉和行容疑者(32)=電子計算機使用詐欺容疑で再逮捕=で、口座や携帯電話を用意する「道具屋」だったとされる。

 阪倉容疑者は同区の自営業者(30)らと共謀、昨年6月、社会保険庁職員を装い、目黒区の無職の男性(81)ら7人に「医療費の還付金がある」などと電話で持ちかけ、現金自動預払機(ATM)を操作させて預金計約500万円をだまし取ったとして、昨年11月と今年1月に宮城県警に逮捕された。

 警視庁組織犯罪対策2課などによると、阪倉容疑者は平成19年11月に設立された東京・池袋の貿易会社社長を務めているが、同社を実質的に経営しているのは同社役員に就任した中国残留孤児2世の男(35)で、池袋に拠点を置く中国人マフィア「金山(キンザン)グループ」のトップを務めている。

 県警は昨年7月、阪倉容疑者の共犯者4人の逮捕を皮切りに詐欺グループの摘発に乗り出した。これとは別に組対2課は昨年10月、金山グループが関与した疑いのある恐喝事件で強制捜査に着手。関係先として同社や阪倉容疑者宅、同社の男性従業員宅を捜索し、県警が摘発した還付金詐欺事件で使われた携帯電話の資料や振込先の口座の通帳などを押収、県警に資料提供していた。

 金山グループは残留孤児の2世、3世らが中心となったマフィアで、メンバーは約30人とみられる。池袋などで強盗や窃盗といった不法行為を繰り返していた疑いがあるが、最近になって中国人が経営する店にみかじめ料を要求するケースが確認されている。

 組対2課は、金山グループが組織拡大のため安定した資金源の獲得を目指しているとの見方を強めており、捜査幹部は「被害が後を絶たない振り込め詐欺にも目を付け、日本語が話せる人間を使って犯行に及んでいる疑いがある」と分析している。

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 ■中国人マフィア 正規の在留資格を持つ中国残留孤児の子孫を中心に組織化された犯罪集団。平成13年ごろまでは福建省や上海出身の密入国者らが強盗、窃盗などを繰り返していたが逮捕と強制送還で次々と壊滅に追い込まれ、組織化されたマフィアが台頭した。福建省や上海出身の不良中国人を配下に置くケースもある。東京都内で最大勢力を誇る「大偉(ダーウェイ)グループ」は約250人のメンバーを抱えているという。

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