オバマ大統領の就任で、ワシントンは20日、熱気と感動に包まれた。
オバマ大統領は20日午後0時5分(日本時間21日午前2時5分)、連邦議会議事堂=地図A=前で開かれた就任宣誓式で、リンカーン大統領も使用した聖書に手を置き、宣誓を行った。ロバーツ最高裁長官が宣誓文を読み上げる順番を間違え、オバマ氏が言いよどむ場面もあった。傍らでは黄色のドレスに身を包んだミシェル夫人が見守った。
「米国は、平和と尊厳を求めるすべての国家の友人だ」。就任演説で、オバマ大統領がこう訴えると、ひときわ大きな歓声がわいた。聴衆の星条旗が左右に振られ、地面がうねるかのようだ。
議事堂前の広場「ナショナル・モール」=B=を埋め尽くした聴衆は午前9時現在で約50万人。パレードなどもあわせ、合計では過去最高となる約180万人の人出となった。
約18分にわたるスピーチには、オバマ夫妻の2人の娘や、ブッシュ親子とクリントン、カーターの歴代4大統領夫妻も立ち会った。
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米国史の節目となったこの日は、祈りで始まった。オバマ夫妻は午前8時45分、迎賓館ブレアハウスを出て、ホワイトハウス北側にある小さなセント・ジョンズ教会=C=に向かった。歴代大統領の故事に倣ったものだ。
次は最後の引き継ぎだ。約1時間後、パトカーに先導されたリムジンに乗り、ホワイトハウス=D=へ。ブッシュ大統領は玄関の外でオバマ氏を抱きしめて迎えた。新旧副大統領も交え、コーヒーを飲みながら最後の引き継ぎを行った。
午前10時50分、オバマ氏は、ブッシュ氏とリムジンに乗り込み、就任式へ。警察官がずらりと道の両脇にならぶ。ブッシュ夫妻にとっては、8年間暮らしたホワイトハウスを去る瞬間だ。夫妻は就任式後の午後2時前に、アンドリューズ空軍基地から自宅のあるテキサス州に向かった。
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就任式を終え、ブッシュ夫妻を見送ったオバマ新大統領は、連邦議事堂内で、議会メンバーらと昼食。
午後3時半、オバマ大統領は、ミサイル攻撃も防ぐという新大統領専用車のリムジンに乗り、ホワイトハウスまでの約2・5キロのパレードに出発。途中2度車を降り、ミシェル夫人と手をつないで歩きながら、沿道に並んだ市民らに手を振った。ホワイトハウスに夫妻が入ったのは午後5時頃だった。
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ワシントン市内では、市民や観光客も、歴史的な一日を十分堪能した。
「モール」周辺では、毛布を抱えた徹夜組が待機。夜明け前の午前6時、議事堂前は既に人で埋め尽くされていた。この日は風が冷たく、体感温度は氷点下10度前後。帽子やマフラーで“完全武装”した家族連れらが、「オバマ!」「イエス、ウィ・キャン」と叫びながら、続々集まった。
一方、警備に当たった警官や兵士らは4万人以上。約5000台の監視カメラと金属探知機や爆弾処理車両に加え、爆発物探知犬や、起爆装置の作動を妨害する電子装置も用意された。戦闘機F16や迎撃ミサイル「パトリオット」も空からの攻撃に備えるものものしさだった。(ワシントン 宮崎健雄、飯田達人)