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2009年01月21日(水) 11時57分

<オバマ新大統領>NY株急落 市場は期待より不安毎日新聞

 【ワシントン斉藤信宏】米国内の高い支持を背に船出したオバマ政権だが、大統領就任当日のニューヨーク株式市場ではダウ平均が前週末終値比332ドル安と急落、いきなり市場から厳しい洗礼を浴びた。新政権への期待より、深刻な金融危機・世界不況への不安が勝った形で、就任演説で「大胆で迅速な行動」を訴えたオバマ米大統領は、山積する難題に文字通り早急な対応を迫られそうだ。

 「米国再建の仕事に取り掛かる」と表明したオバマ大統領にとって、金融市場の正常化が最初の大仕事になる。米大手銀行のシティグループやバンク・オブ・アメリカは先週、公的資金の追加投入の受け入れや大規模リストラを発表したが、株価が下げ止まる気配はない。金融危機を抑え込まなければ政権への期待は失望に変わるだけでなく、対応を誤れば世界の金融市場が再び大混乱に陥る恐れもある。

 米自動車大手3社(ビッグ3)の救済も、待ったなしの課題だ。ゼネラル・モーターズ(GM)とクライスラーは、米国経済にとって大きな打撃となる破綻(はたん)を回避するため政府からの追加支援を当てにしているが、国民の6割は支援を批判しているだけに難しい判断を迫られる。

 オバマ大統領は「成長のため新しい基盤を作らねばならない」と明言。8250億ドル(約74兆円)の大型景気対策を実施し、代替エネルギー開発などを通じ400万人の雇用創出を目指すとしている。しかし、対策の中身を見ると、財政支出の大半は各州政府への財政支援や失業対策に充てられ、エネルギー関連投資は500億ドルにとどまる。「米国再建」というには、迫力にかける。

 高い支持率は、急速な景気悪化に対する米国民の強い不安の裏返しでもある。オバマ大統領は中低所得者層への減税などで不安解消を目指すが、大統領自身が「短期的には解決できない」と分析するように景気回復には時間がかかる。米国経済が立ち直らないまま財政赤字だけが急拡大すれば、ドルや米国債への信認が低下しオバマ政権は窮地に立たされることになる。

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