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2009年01月20日(火) 08時01分

消費税引き上げ問題 中川元幹事長、造反に含み 自民、きょうから本格調整産経新聞

 麻生太郎首相が掲げる平成23年度からの消費税率引き上げを、税制改正法案の付則に書き込むかをめぐり、自民党は20日の政調全体会議で本格調整に入る。次期衆院選への悪影響の懸念から党内に首相方針へ反発があり紛糾は必至で、政府が目指す23日の税制法案の閣議決定、国会提出は来週にずれ込みそうだ。反対派の急先鋒(せんぽう)の中川秀直元幹事長は19日の民放テレビ番組で、首相方針通りの法案が衆院本会議で採決にかけられれば造反することを示唆し、中堅・若手の不満を代弁した。(加納宏幸)

 中川氏は19日、TBS番組で、増税時期の付則への明記に意欲を示している麻生首相を批判した。

 「自民党は平成17年衆院選で、任期中に消費税を上げるとは公約していない。2年後に誰が首相かは分からないが(増税は)選挙で国民が決めることだ。選挙の前に法律で縛るのは民主主義のルールに反する」

 中川氏は「国民のための英断はぶれではなく、リーダーシップだ。首相に英断してもらいたい」と、首相に翻意を促した。そのうえで、付則に消費税増税が盛り込まれた場合の対応について「その瞬間で判断する」と、法案採決時の造反に含みを残した。

 だが、首相は19日の参院予算委員会でも「2011(平成23)年までに景気をきちんと立て直し、行革などを行ったうえで、中福祉・中負担をお願いする」と付則への明記にこだわりをみせた。財政規律派の「与謝野馨経済財政担当相の強い意向が首相に影響している」(町村派幹部)とみられている。与謝野氏は消費増税に否定的な「上げ潮派」の中川氏との間で激しい論争を展開してきた。

 安倍晋三元首相や自民党税制調査会の幹部らが、付則の条文修正に乗り出し、当初、20日に予定されていた付則案の与党側への提示は22日に先送りされた。保利耕輔政調会長は19日の党役員会で「経済回復後の増税を強調するなど2、3の字句修正ならありうる」と修正の可能性に触れた。

 水面下での中川氏サイドへの説得工作も活発化しているが、中堅・若手は「密室協議はおかしい」と突き上げており、これが中川氏が造反を示唆する一因となったようだ。

 景気対策上マイナス効果があるとして、増税時期の法制化に反対する山本一太参院議員ら中堅・若手の「国民視点の政策を実現する会」は19日夜、都内で会合を開いて政調全体会議への対応を協議し、「どんな理由であれ消費税引き上げ時期の明記に断固反対する」との方針を確認した。

 定額給付金を含む20年度第2次補正予算案の採決に棄権した松浪健太前内閣府政務官への党の処分が比較的軽い「戒告」だったことで「造反した方が選挙にはプラス」(若手)との空気さえ漂っている。

 中川氏は「反対論は自然発生的で、執行部が締め付けようとしても無理だ」と周囲に漏らす。党内には「首相が原案通りに押し切れば、造反は一けたでは済まない」(閣僚経験者)との見方もあり、修正論議の行方が造反の動きを左右しそうだ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000078-san-pol