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2009年01月20日(火) 11時50分

複雑な状況を「物語」として理解する:DARPAがAIシステムを開発へWIRED VISION

単調な低い連続音、情報提供者からの情報、ニュース報道、入手した携帯電話の会話……戦場にいる指揮官はしばしば、非常に多くの情報を手に入れるが、これらの情報から意味を得るのは難しい。

こうしたことから、米国防総省の奇妙な研究部門である国防高等研究計画庁(DARPA)は、こうしたすべてのデータを、「人が理解するのにもっと適したかたち」——具体的に言うと、物語——に変えようと試みている。

この物語の作者は、こうしたすべての情報をまとめて、隠れた意味を探り出し、分かりやすい物語にすることができるという、一連の知的なアルゴリズムだ。

DARPAの情報請求書類には次のように書かれている。物語を語るこうしたシステムは、人間のように、「出来事を適切に解釈するために、物語を思い出し、再び使うことができる」だろう。そうした物語は、細部まで詳しくデータを持つものではなく、判断を下す上でもっとも重要な側面を伝えるからだ」。

うまくいけば、この『Experience-based Narrative Memory』(EN-Mem)システムに、「複雑な状況を(中略)単純化して理解しやすく、解決やすく」させることが可能になる、とDarpaは期待している。

しかしそのためには、研究者は、人が情報を解釈したり、保存したり、再利用したりする方法の理解において大躍進する必要があるし、コンピューターをプログラミングしてこれらを可能にさせる必要もある。EN-Memを推進しているのは、人工知能(AI)研究を推進するDARPAの『情報処理技術室』(IPTO)だ。

Darpaの情報請求書類から引用する。

複雑な状況を理解するのは、物語を理解することと似ている。解釈を作り出し、抽出し、あてはめる必要がある。こうした解釈は、情報の中に、一般的に理解されている物語を組み込む。情報が入力されてくる流れのなかでは明示的に述べられていない詳細を補う形で、登場人物の基本的なやりとりや、彼らを動かしている動機の変化を捉えるような物語だ。

これは、誰もが類似的には似たような体験をしている物語のストーリーラインを利用して、その状況の要となる側面を伝えるために詳細を単純化するものだ。こういったストーリーラインは、意思決定者が行動をとろうとしている現在の状況と同様のものであり、意思決定者が必ず思い出す必要のあるものだ。

EN-Memシステムの開発は2月から始まる。認知科学および人工知能研究の現状を検討するワークショップが開催される。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000003-wvn-sci