2009年01月20日(火) 15時24分
北芝健氏からミクシィ年賀状が届いた(Oh! MyLife)
元警視庁刑事で作家の北芝健氏がミクシィ年賀状をファンに送付した。記者(=林田)あてにも北芝氏と親交のある作家・石原伸司氏が一緒に写っている写真付きの年賀状が届いた。Web 2.0時代の新たなファンサービスの一形態として注目される。
ミクシィ年賀状はSNS最大手のミクシィ(mixi)によるサービスである。住所や本名が分からないマイミクシィにも、日本郵便のお年玉付き年賀葉書で2009年の年賀状を郵送できる。年賀状を送りたい人はミクシィ上で送付先のマイミクを選択する。受取人にはミクシィからメッセージが送られる。メッセージの指示に従って住所を登録すると、ミクシィが年賀状配送手続きをしてくれる。
作家やコメンテーターとして活躍している北芝氏は、ミクシィのユーザーでもある。ミクシィの日記上において自身の出演する番組やイベント、書籍の出版についてアナウンスしている。元モーニング娘。の後藤真希さんがミクシィ内のプロジェクトSWEET BLACKにて新曲「Fly away」を発表するなどミクシィを利用したプロモーションはニュースにもなっているが、北芝氏もミクシィを効果的に活用している。
誰でもアクセスできるWebサイトと異なり、SNSは会員(登録者)でなければ閲覧できないクローズドなコミュニティである。そのため、可能な限り多くの人に告知したいプロモーションには一見すると向いていないように思える。
しかし、Webサイトは閲覧者側でアクセスしにいかなければ見てもらえないのに対し、ミクシィでは日記を書けばマイミクのトップ画面にも更新情報が伝達される。そのため、マイミクの目に留まり、閲覧される可能性が高い。何よりもマイミクという形でつながっていることが親近感を持たせてくれる。
北芝氏の面白い点はマイミクの希望者に年賀状を送付するにあたり、条件を付したことである。それはミクシィのレビュー機能を利用して書籍の感想を書くことである。対象の書籍は北芝氏の著書『続・警察裏物語』(バジリコ)などである。これはWeb 2.0の傾向を見事にとらえたやり方である。
従来の枠組みでは北芝氏のような作家は情報の送り手であり、ファンは受け手と位置付けられる。送り手と受け手の立場は固定化していた。しかし、インターネットの発達によって一般消費者も情報の発信者になれるようになった。消費者自身にも受け手に甘んじることをよしとせず、自己表現の欲求が存在していた。「インターネットが社会を変える」というと技術面に関心が集中しがちであるが、消費者の潜在的欲求を実現できる技術が整ったことが重要である。
北芝氏はマイミクに書籍の感想の発表を求めることで、消費者の表現欲を上手に刺激した。意識的であるかは別として、北芝氏はマイミクを単なる情報の受け手とはとらえていない。単に新しいシステムとしてインターネットを利用するだけでなく、インターネット時代のユーザー心理を踏まえている。世代的にも元警察官という経歴からもインターネットに対して保守的であってもおかしくないが、技術に振り回されずに上手に利用する姿勢は注目に値する。インターネット利用の面からも北芝氏の今後の活躍を期待したい。
(記者:林田力)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000001-omn-inet