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2009年01月20日(火) 17時48分

【神隠し公判4日目(16)】転職考える母に「一緒に頑張ろう」…留学帰りの東城さんは「ハグしてきた」産経新聞

 《輝いていた未来を、星島貴徳被告によって奪われてしまった東城瑠理香さん。留学し、一方で母親の相談に乗るなど、前向きで明るく優しかった東城さんの大学入学後の様子を、母親が検察官の質問に答えながら明らかにしていく》

  ・映し出される幼少時代の東城さんのスライド…嗚咽もれる法廷

 《モニターには『相模女子大学 入学式』と書かれた看板の前に立つ東城さんの写真が映し出された》

 検察官「これは大学に入学したときの写真ですね」

 母「はい」

 検察官「どうして瑠理香さんは相模女子大学を選んだのですか」

 母「一つは、成績が上位だと学費が免除されるためです。もう一つは、留学の制度が整っているからです」

 検察官「お姉さんは1年早く東京に行っていたのですね」

 母「はい」

 検察官「その後、瑠理香さんはカナダへ留学したのですね」

 母「はい」

 検察官「カナダ留学が決まったとき、瑠理香さんには何と話しましたか」

 母「『留学はなかなかできない経験だから、自分で身につけられるものをみつけなさい』と言いました」

 検察官「瑠理香さんが留学することは、心配ではありませんでしたか」

 母「心配はありませんでした。瑠理香はカナダに行くために、いろいろな下調べをしていましたから、安心して行かせることができました」

 《次に、モニターにはエアメールの封筒の写真が映し出された》

 検察官「これは、瑠理香さんがあなたに宛てた手紙ですね」

 母「はい」

 《1枚の便箋(びんせん)の映像に切り替わる。小さな字でびっしりと手紙が書かれている。字が細かいため、傍聴席から内容を読み取ることはできない》

 検察官「これは中に入っていた手紙ですね」

 母「そうです」

 検察官「どのようなことが書かれていましたか」

 母「カナダでの生活が日記のように書かれていました」

 検察官「この映像は、あなたに宛てたカードですね」

 母「はい」

 《モニターに花の絵が描かれたカードが映し出され、すぐにカードの裏面の映像に切り替わった。ピンク色のペンで、『結婚記念日おめでとう』『夫婦水入らずで仲良くしてくださいな』などと書かれている》

 検察官「これは、あなたがまだ離婚していなかったときに受け取ったものですね」

 母「はい」

 検察官「このころ離婚しそうだったのですか」

 母「そういうわけではありません」

 検察官「では、なぜこのようなことが書かれているのですか」

 母「とても情が深い子だったので、『ずっと仲良くしてほしい』と思ったのだと思います」

 検察官「カナダから瑠理香さんが帰ってきたとき、あなたは空港まで迎えに行ったのですか」

 母「はい、行きました」

 検察官「瑠理香さんはどのような様子でしたか」

 母「つばの広いカラフルな帽子をかぶっていて、元気いっぱいに帰ってきてくれました」

 検察官「瑠理香さんは何と言っていましたか」

 母「『お母さん、ただいま』と言って、抱きついてくれました」

 検察官「それは、欧米でいう『ハグ』ですか」

 母「そうです」

 検察官「瑠理香さんは、留学でどのような成果を残したと言っていましたか」

 母「英語で英語を教える教員の免許を取ったと話していました」

 《質問は、留学を終えて東京に戻った瑠理香さんの様子に移った。モニターに、3人姉妹で色違いのショートパンツをはき、手をつないで扇の形を作る写真が映し出された。真ん中には、瑠理香さんが立っている》

 検察官「これは、(当時姉妹3人で住んでいた)錦糸町のマンションで写したものですね」

 母「はい」

 検察官「このころの3人姉妹はどのような様子でしたか」

 母「この写真の通り、瑠理香を中心に姉妹が3人でまとまっていました」

 検察官「ところで、あなたのお母さんで、瑠理香さんにとって祖母にあたる方が平成17年に亡くなりましたね」

 母「はい」

 検察官「これは19年の三回忌の時の写真ですね」

 母「はい」

 《モニターには、黒い服を着て並ぶ5人の女性の写真が写された。瑠理香さんの姉妹といとこで写した写真だという》

 検察官「このとき、瑠理香さんはどんな話をしていましたか」

 母「『バイトをしながら、就職活動をしている』と話していました」

 検察官「アドバイスはしましたか」

 母「『せっかく資格を持っているんだから、生かせる仕事をしたら』と言いました」

 検察官「瑠理香さんは何と言っていましたか」

 母「『その資格を生かす仕事に就くのはしばらく先でも大丈夫なので、アート関係の仕事に就きたい』と言っていました」

 検察官「そのころあなたも転職を考えていたんですよね?」

 母「私は保険外交員の仕事をしていたのですが、福祉の仕事に就きたいと考えていました」

 検察官「福祉の仕事も資格が必要ですよね」

 母「はい。ヘルパーの2級を取りたいと思っていました」

 検察官「瑠理香さんは、それについて何と話していましたか」

 母「喜んでいました。『今は資格の時代だから頑張って。私も就職活動をしているから、一緒に頑張ろうね』と励ましてくれました」

 《母親の話から、優しくてしっかりしていたという瑠理香さんの人柄が伝わってくる。傍聴席は、星島被告に対する憎しみややりきれなさが広まっているのか、静まりかえっていた》

 =(17)に続く

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