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2009年01月20日(火) 12時56分

【神隠し公判4日目(5)】「別れても5年後に会おうと…」 元カレが涙声で訴える産経新聞

 《将来は語学力を生かして『ファッション業界で働きたい』という夢を抱いていた東城瑠理香さん。さらに上を目指して、事件直前に転職したイベント会社でも持ち前の能力や個性で周囲の信頼を得ていったという。検察官のイベント会社の女性上司への質問が続けられる》

・絶たれた夢、声詰まらせる友人

 《東城さんは、ステージ上で賞状を渡したりするなどの手伝いをする『セレモニスト』の研修も会社で受けていたという》

 検察官「なぜ、東城さんは、その研修を受けたのですか」

 上司「次に任せる仕事が、セレモニストのコーディネートだったので、事前に内容を知っていた方がいいだろうということで研修を受けてもらいました」

 検察官「研修はいつありましたか」

 上司「(平成20年)3月25日にありました」

 《ここで、研修を受講した際に、東城さんが別の生徒が一緒に並んで撮影された集合写真が大型モニターに映し出される》

 検察官「東城さんは研修に参加して、どのような感想を話していましたか?」

 上司「『周りの(生徒らの)立ち居振る舞いが参考になりました。自分もこういう風になりたいなと感じました』と感想を漏らしていました」

 検察官「その感想を聞いて、あなたはどう感じましたか?」

 上司「『これからも能力を高めていってもらい、いろんなことにチャレンジしてもらいたい』と考えました」

 《東城さんは翌月の4月22日にも、雑誌の創刊パーティーのイベントの仕事が予定されていたという》

 検察官「雑誌創刊パーティーでは、東城さんはどんなことを担当していましたか」

 上司「パーティーの予算算定や備品の購入などの全般を担当していました」

 検察官「どのように仕事を進めていましたか」

 上司「分からないことはそのままにせずに積極的に聞いていましたし、仕事の段取りなどのスケジュールも自分で考えて進めていました」

 検察官「準備はいつから始めていましたか」

 上司「4月の初めです」

 《その準備の合間の4月12日、東城さんは仕事の参考にしようと、別のパーティーの視察もしていたという。その席上で東城さんは上司に取引先の『関係者を私に紹介してください』と頼んだという》

 検察官「東城さんの姿勢を見て、どう思いましたか?」

 上司「『やる気があるなぁ』と思いました。これからも会社の中でがんばってくれると頼もしく思いました」

 《入社まもない東城さんが努力を重ねて、手探りで準備していたイベント本番は4月22日。その3日前に、何の関係もない星島貴徳被告に連れ去られ、殺害された》

 検察官「東城さんとは仕事以外の話もしましたか」

 上司「ランチにお弁当を持ってきていたので『いいねえ』と声をかけたら、東城さんは『お姉さんに作ってもらったんです』とうれしそうに答えていました」

 検察官「事件のあった日の4月18日も東城さんは出勤していますね」

 上司「いつもと変わらずに、その日もメンバーとランチを取りました」

 検察官「事件のあった日の夜に警察から東城さんの行方不明を告げられましたね」

 上司「はい。前日に取引先の関係者を紹介し、(自分の企画した)パーティーも楽しみにしていましたので、自分からどこかに行方をくらますことはないと思い、またひょっこり出勤してくると信じていました」

 《しかし、東城さんは出勤することはなく、その後に上司は報道で東城さんが殺害されて、バラバラにされたことを知ったという》

 検察官「殺害されたことを知って、あなたはどう感じていますか」

 上司「ほかの社員らと一緒で、まだまったく信じられません。夏に、もっと大きなパーティーを、もう少しメーンでやってもらおうと考えていました。笑顔もだんだんよくなってきましたし、見ている間にもどんどん成長する人で、本当にこれから任せることができる人だと思っていたのですが…」

 《これまで、検察官からの質問に気丈に答えていた上司だったが、この場面だけは少し声がうわずった。会社では殺害されているのが分かった後、東城さんの机に花を手向けたという》

 上司「東城さんはおしゃれだったので、(手向けた花は)菊とかじゃなくて白い洋花にしました。みんなでささやかにお別れしました…」

 《弁護側の質問はなく、上司が退き、続いて東城さんと高校3年間同じクラスで、高校時や大学時に交際していたという男性が証言席に立った。質問に先立って『うそを述べない』とする宣誓をする際から、涙で声を震わせている。書記官がテッシュを差し出し、検察官の質問が始まる》

 検察官「(東城さんと)仲良くなったきっかけは何かありましたか?」

 元恋人「瑠理香のバイト先の帰り道と、自分のバレーボールの部活の帰りが一緒の道だったので仲良くなりました。高校1年のときに交際が始まりました」

 検察官「あなた以外に東城さんが仲良くしていた人はいますか?」

 元恋人「6〜7人の女の子と仲良くしていました」

 《ここで、高校時代のセーラー服姿の東城さんの写真が大型モニターに映し出される。そばには同級生の女子生徒がほほえむ姿も見られる。元恋人も東城さんの友人とは仲が良かったという》

 検察官「東城さんは部活動はしていましたか?」

 元恋人「柔道部のマネジャーをしていました」

 検察官「どんな感じで活動していましたか」

 元恋人「平日は活動はなかったと思います。土日の大会とかがあるときに、ビデオカメラを回したりしていました」

 検察官「東城さんは、どんな高校時代でしたか」

 元恋人「…。瑠理香は英語が好きで、ずっと勉強していました」

 検察官「将来は何になりたいと言っていましたか」

 元恋人「留学したいと言っていました」

 検察官「その(留学の)ための努力はしていましたか?」

 元恋人「家でも勉強していましたし、自分と一緒にいるときも英語で話をしたりするように心がけ、メールも英語でした」

 検察官「あなたが送った英語のメールについて何か言っていましたか」

 元恋人「『しっかり勉強しなさい』『間違っている』と駄目出しされました」

 《東城さんは東京の私立の外国語大を第1志望にしており、当時から努力を怠らなかったという》

 検察官「そのほかに東城さんの当時の印象はありますか」

 元恋人「瑠理香は本が好きで『冷静と情熱のあいだ』という本をすすめられました。それから、その本が映画化されて一緒に観に行きました。映画は恋人が別れ、10年後に再会するという内容でした。瑠理香は『2人が別れても10年後に会おう。でも10年は長いから5年後に』と言っていました」

 《当時の状況を思い浮かべてか、元恋人は、一つひとつていねいに検察官の質問に答えていく。元恋人は東城さんと、けんかをするなどして交際と別れを繰り返していたという。ここで検察官は東城さんと姉や元恋人が浴衣姿で映った写真を大型モニターに映し出す》

 検察官「あなたと一緒に映っているのは、東城さんのお姉さんや妹ですね」

 元恋人「何度か、夏に(東城さんの)家族に諏訪湖の花火大会に連れて行ってもらいました。そのときの写真です」

 検察官「東城さんが着ている浴衣は?」

 元恋人「お姉さんが作ってくれたものです」

 《元恋人は高校3年のときに東城さんと、いったん別れたという。元恋人は推薦で東京の大学に入学が決まる一方、東城さんは第1志望の大学に落ち、「(東城さんが)ストレスをぶつけるようにして交際が終わった」という。しかし、その後、東城さんも相模女子大に入学が決まり、上京。元恋人と再会する。質問は、2人の大学時代の思い出に移る》=(6)に続く

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