2009年01月20日(火) 12時32分
【神隠し公判4日目(4)】「瑠理香を返して!」…最後は涙声で絶叫した(産経新聞)
《東城瑠理香さんの友人に対する検察官の質問が続く。涙で声を詰まらせながら、悩みや相談を打ち明ける唯一無二の親友だった瑠理香さんへの思いを証言する。一方、瑠理香さんの命を奪った星島貴徳被告に対しては、強い憤りを口にした》
・絶たれた夢、声詰まらせる友人
検察官「瑠理香さんが殺されて、バラバラにされ、下水道に流されていたことについて、あなたはどう思いましたか」
友人「瑠理香は、きれいなものが好きだったので…」
《言葉が続かない。ハンカチで涙をぬぐい、声を絞り出した》
「せめてどんな形でもいいから、顔を見てからお別れしたかったです」
検察官「今、瑠理香さんに二度と会えないということは、心からの実感としてありますか」
友人「ありません」
検察官「それは、どうしてですか」
友人「顔を見てお別れしていないからです」
検察官「星島被告は、瑠理香さんを1人の人間としてみていたと思いますか」
友人「思いません」
検察官「事件のあと、あなたの生活で変わったことはありますか」
友人「あります。夜、道を歩いていても怖く感じます。以前は防犯カメラがあるところなら安全と思っていましたが、今では助けを求めたりすることができないから、意味のないことなんじゃないかと思います」
検察官「あなたがつらいとき、相談する相手は誰でしたか」
友人「瑠理香です」
検察官「この事件で、あなたは何を失いましたか」
友人「大切な人です」
検察官「星島被告に言いたいことはありますか」
友人「瑠理香を返して!」
《友人は最後に涙声で絶叫した。ここで友人に対する質問は終了した。続いて東城さんの勤務先の女性上司に対する質問へと移った。検察官は、女性が東城さんを採用したときの状況から質問を始めた》
検察官「あなたはどういう業務を担当していましたか」
上司「パーティーやイベントに関する業務です」
検察官「瑠理香さんとは、平成20年1月7日に雇用の契約を結んでいますね」
上司「はい」
検察官「採用したきっかけは何でしたか」
上司「東城さんは『とらばーゆ』のサイトから応募をしてきて、書類を見たのがきっかけでした」
《ここで大型モニターに、東城さんが提出していたプロフィルが映し出された》
検察官「プロフィルの日付は(19年)12月10日になっていますね」
上司「はい」
検察官「あなたは、プロフィルのどこに注目しましたか」
上司「文章で考えを整理できる頭のいい人だなと思いました。イベントに近い仕事を経験していたので、会ってみたいと思いました」
検察官「当時、面接をしたのもあなたでしたね」
上司「はい」
検察官「面接の際は、履歴書も提出されましたね。どんな印象でしたか」
上司「難しそうな英語の資格を持っていることが気になりました。仕事で特に語学ができる必要性はないのですか、習得するために粘り強く努力をしたという点が印象に残りました」
検察官「面接では何と聞きましたか?」
上司「どうして、この資格をとったのかを聞くと『どうせ英語を学ぶなら、難しいことに挑戦したかった』と言っていました。『実際に会社でやる仕事では、あなたの英語の能力は生かせないかもしれないよ』と言うと、『さまざまなことを経験したい』と答えていました」
検察官「仕事は厳しいということも伝えましたか」
上司「『身だしなみや礼儀作法も身につけないといけないし、指導が入るけど、ついてこれますか』と聞きました。東城さんは『こう見えてもガッツがあるのでいろんなことに挑戦したいです』と答えました」
検察官「実際、話してみた印象はどうでしたか」
上司「今風でクールですが、しっかりした考えを持って粘り強く努力する人だということが伝わってきました」
《面接には10人が応募してきたが、結局、採用されたのは東城さん1人だけだった。上司は東城さんに大きな期待を持っていたことがうかがえる。続いて質問は、東城さんの仕事ぶりについて及んだ》
検察官「瑠理香さんは最初は雑用で、徐々にイベントにも関与していきましたね」
上司「はい」
《ここで、大型モニターに東城さんが書いたとされる「報告書」が移った》
検察官「平成20年2月3日のイベントの報告書です。これはどういうイベントでしたか」
上司「子供向けに実施した音楽イベントで、東城さんは会場のレイアウトを考えたり、制作物の手配をしてくれました」
検察官「瑠理香さんは当日は、どんな態度でしたか」
上司「子供もイベントに参加していたので、楽しそうにしていました」
検察官「その日の報告書には何と書かれていましたか」
上司「報告書の中段に、『お客さまをせかすことをしまった』ということが書かれていました。東城さんが遅れてきたお客さまを誘導する様子を見て、『私がまだゆっくりと見られますよ』という感じでやるよう指導しました。それ以降は自分なりに工夫して声をかけるようになり、その点が報告書にも書かれていました。チームの一員になりつつあると、うれしく、たのもしく思いました」
《上司の証言によると、東城さんは仕事の飲み込みや理解力が高かったようだ。上司はこのイベントをきっかけに、東城さんにさまざまな仕事を任せるようになっていく。殺害される2カ月ほど前のことだった》
=(5)に続く
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