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2009年01月20日(火) 02時55分

【神隠し公判】ショッキング映像…傍聴人「必要あるのか?」産経新聞

 19日に第3回の公判があったバラバラ事件。これまでの公判では、法廷の大型モニターに200個超の生々しい肉片や骨片の写真が映し出され、目を背ける傍聴人が相次いだ。遺体切断の再現映像では、遺族が地裁職員に抱えられて退廷して号泣する一幕もあった。

 ある傍聴人は「私たちにここまで見せる必要があるのか」と疑問を語った。

 ショッキングな映像を傍聴人にまで示すのは、従来の公判では考えられない異例の措置だ。東京地検は14日の第2回公判後、この公判を裁判員裁判の「モデル」と位置づけ、「裁判員にも法廷で見てもらうというメッセージを込めた」と説明した。19日には「裁判員制度は関係なく、立証上必要があった」と修正したが、本音はどちらか。

 裁判員に対する証拠開示のあり方については、「PTSD(心的外傷後ストレス障害)になる可能性もある」(中園一郎・日本法医学会理事長)との課題も指摘されている。だからこそ、東京地検や東京地裁は今回の公判で、遺族ら傍聴人に残忍な証拠をあえて示すことで、裁判員になる一般国民が、どの程度の証拠に耐えられるかを推し量った、との見方がある。

 現在、多くの裁判で裁判員制度をにらんだ試行錯誤が続けられている。だが、「現実の公判が、まだ始まっていない裁判員裁判のトレーニングに利用されてはたまらない」(犯罪被害者支援に詳しい武内大徳弁護士)との批判もある。

 この公判は、殺人事件の裁判であって、模擬裁判ではない。被告の有罪無罪を決める以上、裁判員がある程度残酷な映像を見なければならないのは理解できるが、遺族ら傍聴人は裁判員でもない。遺族らを相手に“練習”をするかのような姿勢には、疑問を感じざるを得ない。(小田博士)

【関連・神隠し事件】
初公判の全記録(13日)
第2回公判の全記録(14日)
第3回公判の全記録(19日)
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090120-00000508-san-soci