2009年01月20日(火) 18時46分
<米新大統領>出馬表明、指名受諾…世界を魅了した名演説(毎日新聞)
オバマ米新大統領は「チェンジ(改革)」や「試練の中で希望を抱き続ける」ことを説き続け、米国だけでなく世界の人々を魅了してきた。20日の就任式を迎え、過去の演説からオバマ氏の言葉の軌跡を振り返る。
■出馬表明演説(07年2月10日、イリノイ州の州都スプリングフィールドで)
皆さんがここに集まったのは私のためではない。この国の将来を信じているからだ。戦争に直面していても、皆さんは平和の到来を信じている。絶望の中にあっても、皆さんは希望が生まれることを信じている。政治が皆さんを疎外し、私たちをあまりにも長い間分裂させてきたのにかかわらず、私たちは一つの国民になれることを信じている。私たちは今、その旅路を進もうとしている。
私がイリノイ州に来たのは二十数年前。大学を卒業したばかりの若者だった。教会グループから地域活動の仕事を与えられた。アメリカをよりよくするため、ささやかながら役割を果たせるかもしれないと思って引き受けた。その後、弁護士になり、選挙民の積極的な政治参加次第で自由や平等という私たちの大切な権利が守られることに気付いた。私はその思いをもって上院議員としてこの州都に来た。米国の東西南北が交差するこの地で、私は米国民の特質である寛大さを知った。寛大さによってこそ、希望あるアメリカを建設できると私は信じるにいたった。
だからこそ、私は(スプリングフィールドの)この旧州議事堂の下で、(奴隷解放宣言で知られる第16代大統領)リンカーンが、かつて分裂した議会に結束を呼びかけたこの地で、共通の希望と共通の夢がたたずむこの場所で、皆さんの前に立ち、米大統領への立候補を表明する。
■大統領候補指名受諾演説(08年8月28日、コロラド州デンバーで開かれた民主党全国大会で)
4年前、私は皆さんの前に立ち、私自身の話をした。裕福でもなく、無名だったケニヤから来た若い男性とカンザス州出身の若い女性(オバマ氏の両親)の話だ。彼らは、自分たちの息子が望むことを実現できるのがアメリカだと信じていた。この約束こそ、米国を特別な国にしている。勤勉さと犠牲を通じて私たち一人ひとりが自分の夢を追求できる。それと同時にアメリカという一つの家族として団結し、次の世代も夢を追えるようにするのだ。
その約束が今、破られようとしている。多くの人が失業し、家を失い、借金に苦しんでいる。破たんしたワシントンの政治、ブッシュ政権の失策が原因だ。私は、すべての米国人にも訴えたい。(本選投票日の08年)11月4日に我々は立ち上がって言わねばならない。「(共和党政権の失政は)8年でたくさんだ」と。
私はアメリカの約束を守るため変革(チェンジ)を公約する。国内で雇用創出する企業への優遇税制や、全勤労世帯の95%を対象とした減税だ。中東の石油依存から10年で脱却する。風力、太陽光など再生可能エネルギーの開発に投資し、500万人の雇用を創出する。すべての国民が利用できる医療保険制度を約束する。男女の給与格差もなくす時だ。
責任ある形でイラク戦争を終結し、アフガニスタンでの国際テロ組織アルカイダと、旧支配勢力タリバンとの戦いを完遂する。テロと核拡散、貧困と虐殺、気候変動と疾病という21世紀の脅威を打ち負かす、新しい国際協調関係を築く。
この8年間で失われたのは、共通の目標に取り組む国民の意識だ。これを取り戻さなければならない。私の選挙ではない。あなた方の選挙だ。みなさんがワシントンを変えるのだ。
45年前のこの日、全国から人々がワシントンに結集し、若い(黒人公民権運動指導者マーチン・ルーサー・キング)牧師が語る夢を聞いた。あらゆる信条、人種、階層の人々の運命はつながっており、協力すれば、私たちの夢を一つにできるとの訴えだった。牧師は「後戻りはできない」と叫んだ。
私たちは後戻りできない。子どもたちを教育し、帰還兵を世話し、経済を立て直し、都市を再生し、家族を守らなければならない。この選挙で我々はもう一度、未来へ向かって行進することを誓約しなければならない。
■大統領選勝利宣言(08年11月4日、イリノイ州シカゴのグラント公園で)
長い道のりだった。だが今夜、今日の決戦を経てアメリカに変革が訪れた。この勝利は皆さんのものだ。私は最初から当選確実の候補者だったわけではない。金もなかったが、労働者たちが5ドル、10ドル、20ドルと献金してくれた。極寒の日もうだるような暑さの日も見知らぬ人の家のドアをたたいて回った人々のおかげで選挙運動は力を得た。人民の、人民による、人民のための政治は滅んでいなかった。
我々の前には大きな仕事が待っている。道は長く険しい。だが、私は今夜ほど希望に満ちたことはない。私は約束する。我々は一つの国民として目標に到達するのだ。
今夜我々は、この国の真の力は武力ではなく、民主主義、自由、不屈の希望に由来することを証明した。
今こそ我々の時代だ。子供たちに機会の扉を開き、豊かさを取り戻し、アメリカンドリームを唱える時だ。皮肉や疑いに直面した時、「できない」と私たちに語る人がいる時、変わることのない信念で答えるのだ。私たちはできる、と。
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