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2009年01月19日(月) 18時27分

【神隠し公判3日目(16)】東城さん、会社で「絶大な信頼」…手掛けた商品は販売中(16:25〜16:47)産経新聞

 《英語が堪能で、ファッション業界で働くことを夢見て、日々努力を続けていたという東城瑠理香さん。検察官による元アルバイト先の社長の供述調書の読み上げが続く》

 検察官「(東城さんは)インターネットのホームページ上で、美術館の館長やデザイナーにインタビューした内容の掲載も担当していました」

 「忙しいときは、深夜にまで仕事が及ぶこともありました。そんなとき、私が『大丈夫?』と声を掛けると、東城さんは『大丈夫です。勉強になりますから』と笑顔で答えていたのが印象に残っています」

 《語学力に磨きをかけようと、英語で思考するようにしていたほどだという東城さん。会社でも絶大な信頼を得ていたといい、海外にも、たびたび出張していたという》

 《平成19年2月には六本木で、世界の美術関係者が集まったレセプションにも出席。ニューヨーク美術館など世界の名だたる美術館長らにも臆(おく)することなくインタビューしていた》

 検察官「普通なら(レセプションでは、世界の重鎮ばかりで)気が引けてしまう。私は『準備は万全か』と声をかけましたが、東城さんは『本も読みましたし、過去のインタビューも勉強してきました』と話していました」

 「いつも自信を持っていた東城さんでしたが、その裏には万全の準備を整える努力を惜しまない一面があったと思いました」

 《語学力ばかりでなく、東城さんには芸術的なセンスもあったと社長は証言する。あるファッションブランドから持ちかけられた「香水」の販売計画では企画書の構成からデザインまで担当していた》

 《ここで企画書が大型モニターに映し出される。そこには、バレンタインデーをねらった販売で、ピンク色を基調にした鮮やかなセンスのよいデザインが浮かぶ。検察官による社長の供述調書の読み上げが続く》

 検察官「現在、東城さんが手がけた企画は軌道に乗り、実際に販売されています」

 「東城さんは、このように自立し、こつこつと努力していました」

 「一方、私は東城さんから家庭などの悩みも打ち明けられ、相談に乗っていました」

 《社長の供述調書によると、東城さんは平成18年11月に姉や妹と住んでいた錦糸町のマンションを退去しなければならなくなった際、『会社が入っていたマンションに住んでもいいですか』と社長に相談していた》

 検察官「何とか力になってあげたかったので、私は、会社の事務所に住むことを許可しました」

 「ただ、彼女を特別扱いしていたわけではありません。会社では2部屋借りていましたが、もう一方の部屋にも男性の従業員を住ませていました」

 《しかし、さらに上を目指して東城さんは平成19年11月、会社を辞めたという》

 《社長は新たな勤務先としてあるファッションブランドを紹介した。東城さんは面接には行ったものの残念ながら不採用になったという》

 検察官「ショックを受けていましたが『1から出直して夢に向かってがんばります』と答えていました。そして『自分で仕事を探します』とも言っており、以来連絡を取りませんでした」

 《社長は報道で事件を知ったという。東城さんは意志が強く、家出するなどとは考えられないと感じ、事件に巻き込まれた不安を感じた。それから1カ月後に、星島被告が警視庁に逮捕されたことを知った》

 検察官「あまりにむごい仕打ちに吐き気をもよおしました。と同時に『なぜ会社に引きとめなかったのか。そうすれば引っ越さずに事務所にいたので、殺されることはなかった』と後悔しました」

 「輪廻(りんね)転生が本当なら、東城さんはきっと生まれ変わって絶対に夢をかなえることでしょう。星島(被告)だけは許せません。必ず死刑にしてください。死刑以外考えられません」

 《続いて、検察官はマンションの中層階に住む看護師の女性の供述調書の読み上げを始めた。安全を信じ、オートロックなどセキュリティーの高いマンションを選んだという東城さん。だが、隣人の手にかかり、防ぎようのない犯罪に巻き込まれた。だれもが被害者となりうる不安…。事件の影響は、被害者やその家族だけでなく、マンションの住民にも出ていた》

 《女性は初めての1人暮らし。オートロックで防犯設備の整った、現場のマンションを選んだという》

 検察官「隣に友人に住んでもらい、防犯設備も整っていたので入居当初は安心していました」

 「4月18日の事件のあった日も、友人から『警察官がたくさん来ている』と聞き、窓から確認もしましたが『自分には関係ない』とどこかで思って、その日は寝ました」

 《事件については、警察官が『部屋を見せてほしい』と来たことで知ったという。警察官は台場でフィリピン人女性が男に殺害後、切断された事件を例えに出したという》

 検察官「『台場の事件のときには部屋に遺体があった』とか言って、ベッド下などを確認していきました」

 「私は怖くて、風呂場でちょっとしたガタっという音も気になり、体の震えが止まりませんでした」

 《『引きちぎられたピアスが落ちていた』『血の跡が残っていた』『防犯カメラに連れ出された状況が映っていない』…。これらの報道が出るたびに女性は恐怖を感じていったとする》

 「報道の状況から『マンションの住民の男』の犯行と感じました」

 「男性と一緒にエレベーターに乗らないとか、住民の男性が視界に入ると、見えなくなるまで行動を注意するようになりました」

 《女性は実家に一時帰るなどして精神的にも安定したことから、5月初旬には再び事件現場のマンションで暮らし始めた。しかしその矢先に、星島被告が逮捕されたというニュースが入る。犯人はマンションの住人。その衝撃を、女性はこう振り返る》

 検察官「1カ月も犯人と同じマンションに住んでいたかと思うと、不安で仕方ありませんでした。気分が悪くなりトイレに行くと、吐いてしまいました」

 《女性はその後、隣室の友人とともに別のマンションへ引っ越した。しかし、今も事件の恐怖を忘れることはなく「今後は一切、一人暮らしをする気はない」と断言する》

 《最後に、東城さんやその家族の心境をおもんぱかりながら、犯人を厳しく断罪した》

 検察官「人を殺した人に生きていく資格はありません。まして、遺体をバラバラにして流すような人は人ではありません。処罰は死刑以外に考えられません」

 《傍聴席では遺族とみられる喪服姿の女性が、ハンカチで何度も涙をぬぐっている。裁判長は午後4時47分、閉廷を宣言。星島被告は刑務官に促され、力ない様子で法廷を後にした。第4回公判は20日午前10時から東京地裁で開かれ、東城さんの友人らの証人尋問が行われる予定だ》

       =(完)

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